ふるさとへの思い込め編集、台湾・崇右影藝科技大名誉教授の千葉氏(大船渡出身)が英語教科書

▲ 松本幸四郎さん㊨と千葉名誉教授(千葉名誉教授提供)

 首都圏さんりく大船渡人会の会長や希望郷いわて文化大使も務める千葉名誉教授は、法政大学講師、東京農業大学教授時代から大学生向けの英語教科書を編集・出版。これまで皇室はじめ、長嶋茂雄、イチロー、中村勘三郎、美空ひばり、渡辺謙、羽生結弦、HIRO(EXILE)といった著名人や、日本の最先端技術、経済、文化、環境問題などを教材として取り上げている。

大船渡市のツバキによるまちおこしも取り上げた「JAPAN EVOLUTION『進化する日本』」

 

ツバキや復興 学生に伝える


 今回の『進化する日本』は、千葉名誉教授はじめ、ジョアン・ペロケティ杏林大学名誉教授、鄭耀星・崇右影藝科技大学准教授、清水雅夫専修大学講師、林孝憲東京農業大学講師、福岡賢昌法政大学准教授が編集にあたった。
 全15章で構成。大船渡のツバキについては第9章「北限のつばき」で、東日本大震災からの復興の象徴として、まちおこしの取り組みを掲載した。
 この中では、ツバキ油の美容面での効能にも触れながら、地元企業と起業家、大手化粧品メーカー資生堂などによるツバキ油利活用や新製品の市場開拓といった取り組みを挙げ、「サステナブル(環境持続可能)な地域発展がツバキ油復活の目標」「この花が希望のシンボルとなり、地域の復興に拍車をかける努力の重要な一部になっている」と記述。
 注釈では、ツバキ関連製品を手がける酔仙酒造、バンザイ・ファクトリー、カメリア社中に加え、同市出身の演歌シンガーソングライター・大沢桃子さんの曲『椿の咲く港』も紹介。同市の沼田京子さんによるツバキの造花の写真も用いるなど、その魅力や可能性を伝えている。
 第1章では、歌舞伎を世界に広める大きな役割を果たしている人物として、松本幸四郎さんを取り上げた。古典『鯉つかみ』上演にあたりプロジェクションマッピングを導入した平成27年8月の米国ラスベガスでの屋外公演に触れ、「歌舞伎の底力を見せたい」という松本さんの思いを描写した。
 また、高速道路や新幹線、港湾など現在の日本の骨組みを築いたとして、元首相の田中角栄氏も紹介。
 同氏が教科書に登場するのは初めてといい、千葉名誉教授は「ロッキード事件で刑事被告人となったものの、日本の近代化にどれだけの貢献をしたのか、再評価されてもいい時期だと思う」としている。
 このほか、岩手県が開発した米「金色の風」、池上彰氏、がん治療薬のオプジーボ、働き方改革、オバマ米元大統領によるヒロシマスピーチなども取り上げている。
 「『北限のつばき』の章など、ふるさとへの恩返しの気持ちを込めた」と千葉名誉教授。学生らに向けては「いまの日本を学び、日本の将来像を考える糧にしてほしい」と呼びかける。
 『進化する日本』は、南雲堂(東京)から出版。B5判100㌻で、定価は1900円+税。