贈収賄容疑で市職員ら逮捕、簡易水道事業の業務委託で便宜/大船渡
平成31年1月18日付 1面

業者から30万円受け取る、市役所を家宅捜索
大船渡署と県警捜査第二課は17日、大船渡市が発注した簡易水道事業の業務委託で便宜を図った見返りに約30万円を受け取ったとして、収賄容疑で大船渡市赤崎町字蛸ノ浦24、市都市整備部簡易水道事業所技監・亘理義政容疑者(56)を、贈賄容疑で同市猪川町字冨岡115の1、㈱佐々忠代表取締役・佐々木秀光容疑者(51)をそれぞれ逮捕した。職員の逮捕を受け、市は同日夕、臨時記者会見を開き、戸田公明市長が陳謝。事件の事実関係について、現時点で市が把握している内容を説明した。
警察の調べによると、亘理容疑者は昨年9月上旬、市内の商業施設駐車場内で、簡易水道事業の業務委託を巡って便宜を図った謝礼として、佐々木容疑者から現金約30万円を受け取った疑い。いずれも容疑を認めているという。
市の臨時会見には、戸田市長、田中聖一総務部長、西山春仁都市整備部長、千葉洋一水道事業所長が出席。
戸田市長は冒頭、「市民一丸となって、復興の総仕上げに全力で取り組んでいるさなか、市職員がこのような容疑で逮捕されたことは、誠に遺憾であり、痛恨の極み。市民の皆様に多大なるご迷惑、ご心配をお掛けし、心からお詫び申し上げる」と陳謝。市議会から▽事件の徹底解明▽警察への捜査協力▽職員の綱紀粛正▽再発防止▽市民への情報開示──など7点の申し入れがあったことにも触れた。
市の説明によると、市に対しては同日午後、市役所で県警による事情説明が行われ、そこで初めて亘理容疑者が逮捕されたことを把握したという。
亘理容疑者は平成5年4月、都市計画課技師補として採用。22年に都市整備部簡易水道事業所長補佐になり、29年から課長級の技監を務めている。
同事業所では、三陸町(一部を除く)と赤崎町合足地区を給水区域とし、七つの簡易水道事業(浄水場8施設)を経営。亘理容疑者は専門職の技師として、施設の維持管理、漏水の修理などの技術部門をすべて担当。30年度は同事業所唯一の技師として、設計書の策定から業務完了の確認、支出手続きなどを任せられていたという。
佐々木容疑者が代表取締役を務める㈱佐々忠には30年度、三陸町吉浜の本郷浄水場ろ過池の砂を定期的に洗浄する洗砂作業や、施設内の通路修繕など23件の業務を委託。すべて随意契約で、支出額は計813万7800円。1事業あたりの契約金額は30〜50万円程度という。随意契約にあたっては、同社と別の業者に見積書を提出させ、金額が安価だった同社に業務を委託していた。
亘理容疑者は14日以降、都合があるとして休みをとっていたという。勤務態度に異常はなかったが、仕事柄外出も多く、具体的な事務を把握できていなかったとしている。
水道供給などの市民生活への影響について、千葉所長は「水を止めることがないよう配慮していきたい」と述べた。
亘理容疑者の処分については、捜査の経緯をみながら厳正に対応する考え。市としての原因調査に関し、戸田市長は「今後検討していきたい」と述べるにとどまった。
一方、大船渡署と県警捜査第二課は同日午後7時過ぎから、亘理容疑者が勤務していた大船渡市役所内を家宅捜索し、関係資料を押収。今後、事件の実態解明に向け捜査を進めていく。