自動運転の様子を公開、実証実験中の大船渡線BRT/JRなど7社(動画あり)
平成31年1月30日付 7面


JR東日本(深澤祐二社長)など7社は29日、陸前高田市の大船渡線BRT竹駒駅周辺専用道区間で実施しているバス自動運転技術実証実験を報道公開した。実験は昨年12月から行われているもので、この日は自動運転や車両のすれ違い、ホームへの停車などの様子を披露。実験は現段階で順調に進んでいるといい、人口減少による運転士不足など地域公共交通の課題が浮き彫りとなる中で、将来像の一つになり得るものとして、引き続き注目を集めそうだ。
公共交通の将来像探る
この実証実験は、JR東日本が主催する「モビリティ変革コンソーシアム」(参加138企業・団体)による取り組みの一環。JR東日本のほか、先進モビリティ、愛知製鋼、京セラ、ソフトバンク、日本信号、NECの各社が参加し、昨年12月から臨んでいる。
実施場所は竹駒駅周辺の専用道区間447㍍。テーマは▽車線維持制御・速度制御▽正着制御▽無線を用いた信号制御による交互交通――など。現地では今月8日から、実験用中型バスによる走行が始まっている。
この日の報道公開には19社が参加。乗車もしながら、プログラムや専用道上に設置する磁気マーカーの情報をもとにした自動運転、ホームへの停車、車両1台分の幅における交互通行などの様子を見学した。
JR東日本技術イノベーション推進本部ITストラテジー部門の佐藤勲部長は、「実証実験は技術的な課題を明らかにして次のステップに進めるための第一歩。いまのところ順調に進んでいる」などと説明。
実用化時期などは未定といい、「持続的な公共交通としては、自動運転のようなものが必要になってくるだろうと考える。本格運用するためには、技術的課題のみならず法制度上の問題などもあり、すぐにはできないかもしれないが、なるべく早い時期に本格運用できるよう、まずは技術的な課題を明らかにしていきたい」と意欲を語った。
今回の取り組みはコンソーシアムの実験中、首都圏以外で唯一実施されているもの。同部長は「専用道であることから技術的アプローチがしやすい」としたうえ、「BRTは東北復興の一つのシンボル。7社が手を取り合いながら、持てるテクノロジーでイノベーションを起こし、東北のさらなる復興の力になりたい」と決意も新たにしていた。
今回の実験期間は2月28日(木)まで。この間、BRTの運行ルートは国道340号に移り、乗降場所も340号沿いに変わっている。駅の待合所やトイレは通常通り使用できる。JRなどでは理解と協力を求めるとともに、専用道には決して立ち入らないよう呼びかけている。