2019陸前高田市長選/現職・戸羽氏 薄氷の勝利、わずか5票差で3選
平成31年2月4日付 1面
任期満了に伴う陸前高田市長選は3日、市内25カ所で投票が行われた。即日開票の結果、無所属現職の戸羽太氏(54)=高田町=が、元県企画理事で無所属新人の紺野由夫氏(59)=横田町=をわずか5票差で破り、3選を果たした。戸羽氏は2期8年の実績を基盤とした「継続」からの発展を訴え、紺野氏は市政の刷新を強調。「継続」か「改革」か、有権者の支持は拮抗(きっこう)し、史上まれにみる大接戦となった。投票率は78・38%で、前回選を6・19ポイント上回った。 (7面に関連記事)
紺野氏無念 猛追かなわず、投票率は6・19㌽上昇
今月12日の任期満了に伴う今市長選は、昭和30年の市制施行以来通算17回目。東日本大震災後は2回目で、選挙権年齢が18歳に引き下げられてからは初めて。震災復興のさらなる推進と、向こう4年間の新たな道筋が問われる重要な選挙で、平成27年の前回選と同じく現職と新人の一騎打ちとなった。
新しく造成された高台やかさ上げ部での住宅着工が進展し、この4年間で被災者の住環境は次第に安定。被災地域におけるコミセンや公民館の再建などが進んだこともあり、注目された投票率は過去最低となった前回選(72・19%)を上回った。
投票は同日午前7時から午後7時まで行われ、同8時15分から昨年4月にオープンした高田町の夢アリーナたかたで即日開票された。少しでも早く当落を知ろうと、会場には市民ら約30人が詰めかけ、緊張感漂う中で開票作業を見守った。
同8時45分時点の中間発表では両氏とも400票。同9時15分時点でも5000票で並んだが、最終確定票は戸羽氏6504票、紺野氏6499票となり、わずか5票差というかつてないほどの大激戦を制す形で、戸羽氏の3選が決まった。
当選した戸羽氏は、昨年9月の市議会定例会で再選への意欲を示し、10月に市民団体「あたらしい陸前高田市をつくる市民の声」(市民の声、菅野隆介会長)からの要請に応える形で出馬を正式表明。公務の合間をぬって市民との懇談会・大集会を重ね、支持基盤の再構築を進めてきた。
選挙戦では、被災後の陣頭指揮、復興事業を推進してきた実績と、それを踏まえた今後の展望を訴え、これまでの支持基盤固めに注力。共産、自民系市議らの連携による「市民の声」の組織運営に加え、黄川田徹元衆議院議員(国民民主党県連代表)、公明の代議士らの応援と、市議17人中9人の支持を得て浸透を図ったが、前回選から大きく票を減らし、薄氷の勝利となった。
一方、選挙初挑戦の紺野氏は、県庁を辞して昨年9月に出馬を表明。後援会(米谷春夫会長)と支援団体「明日のたかたを拓く市民の会」(村上研一会長)が紺野
氏と一体となって地域の隅々まで歩き、支援の輪を広げた。
前哨戦の段階から紺野氏は、現市政の行財政運営の問題点を指摘し、「今のままでは陸前高田に未来はない」と主張。7階建てで計画されている新庁舎規模の見直しを主要な争点に掲げて現職批判票を結集し、4年前に戸羽氏に投票した層の切り崩しも図った。告示後の勢いで戸羽氏を上回るなど支持を広げ肉薄したが、わずかに届かず無念の涙をのんだ。
【戸羽太氏の略歴】
神奈川県足柄上郡松田町出身、東京都立町田高卒。民間企業に勤務し陸前高田青年会議所副理事長などを歴任。平成7年4月の陸前高田市議選に初当選し、連続3期。19年3月同市助役に選任され、翌月から22年12月まで副市長を務めた。翌年2月の市長選に初当選。27年に再選を果たし、現在2期目。
昭和40年1月2日生まれ。54歳。高田町字大隅44の8。