ILCとの共生へ最終案、まちづくりビジョンと港の活用等プラン/大船渡

▲ 大船渡市の「ILC共生まちづくりプラン」案には、港湾の活用などについても記載

 大船渡市は6日、検討を進めてきた「ILCと共生するまちづくりビジョン」と、同ビジョンの第1弾アクションプランとなる「大船渡港の活用等プラン」の最終案を公表した。同ビジョンはILC(国際リニアコライダー)の実現に伴う効果を最大限に生かすための取り組み方針を、同プランは大船渡港の利活用を通じて地域経済の発展を図る実践的な計画を盛り込んだもので、年度内の策定を予定している。
 ILCは、直線状の加速器でビッグバン直後の状態を再現し、宇宙の謎を解明する大型の実験施設。国内建設候補地には北上山地が有力視されており、東北ILC推進協議会の「ILC東北マスタープラン」では、大船渡市をILCのコアゾーン(中核的な地域)に、大船渡港を建設における物流拠点の一つに位置付けている。
 市はILCの資機材搬入における大船渡港の利活用や交流・居住人口の増加などの波及効果を最大限に生かすため、諸活動の取り組み指針を示す同ビジョンを作成。昨年10月には市議会に中間報告を行い、意見、提言を求めた。
 最終案は、議会からの意見、提言を踏まえ、県などの関係機関や研究者らと協議を重ねて取りまとめたもの。期間は平成31年から33年間で、「準備期(4年間)」「建設期(9年間)」「運用期・成熟期(20年間)」と区分し、5章からなる。
 ビジョンの基本的な考え方(策定方針)は、①復興の推進および復興後の持続可能な地域社会の構築②大船渡市の特長と各種計画との整合の重視③広域連携の中で大船渡市が担う役割を示す④インフラ施設などの有効活用と民間活力の誘発⑤社会関係資本(サービス)の整備⑥人材育成の重視──の6項目。
 将来像およびその実現のための基本的な考え方には、「人口減少と少子高齢化への対応を念頭に、『ILCの建設・運用を契機に当市に関わる人』の拡大を目指す」と設定。「港湾・物流・道路」「産業」「観光・交流」「生活・居住・滞在」「医療・教育・社会」の5分野別に将来像や段階別の取り組み内容を示した。
 この中では、将来像がイメージできるよう、分野ごとに象徴するフレーズとまとめの文言を追記。「港湾・物流・道路」では、「世界と岩手をつなぐ海の玄関口 国際港湾都市」として、「ILCに関する物流や交流の拠点、世界と岩手をつなぐ海の玄関口として、多角的な物流ハブを備えた国際港湾都市の形成を図る」とした。
 中間報告で「ILCと共生するまちづくりにおける課題」としていた章は、「ILCにかかる大船渡市への波及効果」に変更。建設期間9年間で見込まれる経済波及効果を、「輸送・物流」「建設」「ILC関係者の観光・余暇需要」の3要素に分けて推計した。それによると、経済波及効果額は約217億円、誘発される就業者数は2076人としている。
 「大船渡港の活用等プラン」は、同ビジョンにおける将来像の一つ「港湾・物流・道路」分野の具体的な取り組みを設定。期間はまちづくりビジョンと同じで、「はじめに」「検討概要」「調査」「ILCにかかる大船渡市への波及効果(物流関連)」「実施計画(アクションプラン)」「結びに」の6章からなる。
 同港からの荷揚げ、その背後地における検査・組立・保管など物流ハブ建設地としての利活用、建設候補地までの物流ネットワークの構築・強化を図るため、その可能性をあらゆる角度から検討。港湾施設の荷揚げ環境や、保管場所では物流ハブ建設候補地としてふさわしい場所、大船渡港からILC建設候補地までの道路ネットワークを調査し、その結果を示した。
 このうち、保管場所には背後地に11・7㌶の工業用地を有するなどのメリットがある永浜・山口地区工業用地が「最も望ましい」としている。
 まちづくりビジョン、大船渡港の活用等プランは年度内の策定を予定。市は残る4分野のアクションプランについて、31年度の策定に向けて作業を進めていく。