3期目を前に/──戸羽太陸前高田市長に聞く

 3日執行の陸前高田市長選挙で3選を果たした戸羽太氏(54)は、13日(水)から新任期に入る。東日本大震災からの復旧・復興とともにあった2期8年の経験と課題を踏まえ、3期目は復興事業の完遂とその先の持続可能なまちづくりに挑むことになる。歴史的な大接戦となった選挙戦を振り返っての所感と、次期4年間に向けた抱負を聞いた。

 

すべての市民に〝目配せ〟を
反省踏まえ、情報公開にも心砕く

 

 ──相手候補との得票差がわずか5票となった今回の選挙結果をどう受け止めているか。
 戸羽 こんなに一票の重みを感じたことはない。市の幹部職員とも「もう少し謙虚にならないといけないね」と話した。復興を早く進めていこうという中で、目の前の議会対応に力が偏りすぎた。議会で何が話されているのか、何が課題となっているのかについて、市民には見えにくかったのかなと反省している。
 新庁舎のことも、建設場所について議会に賛同を取り付ける過程で7階建てをご提案したのだが、そうした途中経過が市民には見えず、『いつ決まった』『だれが決めた』という反感につながったのだと思う。
 5票差というのは、今までの反省すべき点が表に出てきたことに加え、県庁で優れた実績を持つ紺野(由夫)さんへの期待が高まったということを踏まえた結果だと受け止めている。
 ──「反省すべき点」をどこだととらえているか。
 戸羽 復興に8年携わらせてもらってきたが、まだ結果らしい結果を見せられていない。「この先よくなる」と口では言ってきても、具体的に『私が市長だから(こうなった)』という部分をお見せできていなかったのだと思う。ただ、少しずつ将来への希望を示せる環境にはなってきているので、皆さんの目に見える形、実感できる形を次の4年でしっかり整えたい。
 市民の持っている情報が限定されているという点も、やはり問題だった。何をやるにつけ、丁寧な説明が必要。市政懇談会などは開いているものの、なかなか集まってもらえなかったりと難しさはあるが、どうしたらもっと伝わるのか、その手法を考え続けていかねば。老人クラブや女性団体など団体ごとの「語る会」はやってきていても、そういうところに所属していない方と話す機会は足りていない。もっともっと外へ出ていかないと。
 ──選挙では公共施設の維持管理をはじめ、今後の行財政運営のあり方も大きく注目された。  
 戸羽 そこも市民の皆さんに見えにくかったのかなと思う。市の財政状況は決してご心配をいただくようなものではない。できるだけ先の見通しを示し、不安を払拭することに努めたい。
 「奇跡の一本松」を残したときも「あんなものに1億5000万円もの寄付を集めて」と強い批判を受けた。だが、今も多くの方があの木を見るため陸前高田へ来てくださり、近くでお土産を買ったりしてお金を使ってくれている。公共施設も同様で、外から人を呼び、施設を利用してもらうことで周辺にもお金が落ちるよう、スポーツの誘致などを積極的に進めたい。実現間近の大会もすでにある。
 ──選挙戦後、「紺野さんに票を投じられた方にも理解してもらえるよう努力したい」と話していたが、そのためにも必要と思う施策は。
 戸羽 震災後のまちづくりにおいて、被災した地域とそうでない地域との格差が大きくなってしまったことは事実。高田町にはいろんなものができたが、内陸部には手が回っておらず『私たちは放っておかれたんだ』という思いが皆さんの中にあったことと思う。内陸部の市道整備のご要望なども積み重なっているが、ずっと待っていただいている状態で申し訳ない。
 こうした地域別の課題を解消するため、新年度はコミュニティ(推進協議会)単位で交付できる補助制度の創設を考えている。「飲食には使えない」など、ある程度の規定は設けなくてはいけないが、道路の修繕や交通手段の確保など、地域内で要望が高い課題解決のため自由に役立ててもらえるものにしたい。
 国保加入者の医療費減免措置など、『被災者ばかり優先される』と市民の間でも意見が割れており、本当に難しい問題も多い。一度立ち止まって考えねばならない。どの方にも何かしらの形で目配せしてもらっていると実感してもらえるよう、謙虚に努力していく。(聞き手・鈴木英里)