森林管理の担い手増へ、山守育成プロジェクト発足/住田

▲ 今後の活動充実を誓い合った設立総会

 林業に関する基礎技術をゼロから学ぶ機会をつくりながら担い手を増やしていこうと、住田町の地域おこし協力隊員らが「すみた山守育成プロジェクト」を立ち上げた。チェーンソーや刈払機の講習会などを通じて小規模な作業を実践できる住民を増やし、細やかな森林管理や里山の生活文化継承を図る考え。26日(火)午後6時からは「キックオフイベント」として町役場で講演会を開催し、住民レベルで「山を守る」意識の醸成を図る。

 

住民ら対象に技術講習会など計画、26日に講演会開催

 

 プロジェクト立ち上げの総会は14日夜、まち家世田米駅で開かれ、住民5人が出席。地域おこし協力隊の平林慧遠さん(32)がプロジェクト発足の趣旨を説明した。役員体制も確認し、平林さんが代表理事を務めることになった。
 時代に合った山の管理を担う主体組織を目指し、「山の豊かさを生み出す新しい人の流れをつくる」をビジョンに掲げる。地域の森林管理や森林整備の担い手、そのリーダーとなる「山守」の育成などを目的に今後活動する。
 新年度は、各種助成金を生かし、講習会の開催を計画。チェーンソーの取り扱いや間伐技術、刈払機の操作、山林管理などについて実践を交えながら学ぶ機会をつくる。森林管理を担うリーダー育成を見据えた研修のほか、異業種や周辺市町村にもネットワークをつくり、町内外の幅広い人々が交流できる環境も目指す。
 林業従事者はかつて、農閑期の住民らが一時的に作業に入るなど兼業者が多かったが、近年は激減。機械化が進む中、専業従事者が担う割合が大きくなっている。
 こうした中、小規模の林地管理に加え、道路や河川をふさいだ樹木の応急的な対応など、細やかな作業を担える人材が不足し、各地域ごとの景観や生活環境の保持に不安も。親から山林を受け継いだり、Uターンや定住を機に管理の必要性に迫られるなど、幅広い世代が林業に関する基礎知識をゼロから学ぶ場も求められている。
 平林代表理事は「山に入る〝一歩目〟の場をつくり、細かいところに手が届く人材を増やしながら、地域にある山を地域の人々が守ることができる仕組みを構築したい。さまざまな人が山に入る機会をつくることで、異業種のネットワークや、生活文化の継承、新たな産業づくりにもつながる」と語る。
 26日のキックオフ講演会では、平林代表理事による趣旨説明に加え、東北・広域森林マネジメント機構=仙台市=の三木真冴氏とNPO法人リアスの森応援隊=気仙沼市=の佐々木美穂氏がそれぞれ、事例講演を行う。終了後、今後の活動に向けた意見交換も計画している。
 入場無料で、誰でも参加できる。
 役員次の通り。
 ▽代表理事=平林慧遠▽理事=紺野昭雄、金野正史、大村圭▽顧問=菅野剛▽監事=瀧本正德