欄干にも「住田らしさ」を、周辺との調和を意識/県と町による昭和橋景観検討委(別写真あり)

▲ 欄干部分の構造などについて協議

 県大船渡土木センター住田整備事務所と住田町による昭和橋景観検討委員会(委員長・柴田久福岡大学工学部教授、委員8人)の第3回会合は19日、町役場で開かれた。景観に配慮した架替計画立案に向け、歩行者の防護柵や手すり部分となる欄干のデザインなどを協議。地域由来の石材と細い鋼材の組み合わせや、周辺との調和に配慮しながら住田らしい「素朴さ」「つつましさ」を意識するデザイン案が望ましいとの意見でまとまった。同事務所は、今年9月をめどに詳細設計をまとめ、その後4年程度で新橋完成を目指す。

 

架け替えへデザイン議論

 

事務局がまとめたデザイン案による橋りょうイメージ

 気仙川に架かる住田町管理の昭和橋は、県による治水対策の一環での架け替えを控えており、県と町は本年度、景観や橋上利用を含めたまちづくりなどの観点で計画案を審議する検討委員会を設置。現在は歩道がない形状だが、昨年12月の第2回会合では、欄干部の景観性を確保できるデザインの自由度などを考慮して「1車線+2歩道」の整備を提言する方針でまとまった。
 この日の会合には委員8人が出席。会議は公開で、住民ら約20人が傍聴に訪れた。
 事務局は、欄干のほか現在の昭和橋でも両端にある親柱、舗装、照明など付属物の細部形状やデザインの方向性を説明。そのうえで、欄干部の形状などが異なる4案を示した。
 委員の支持を集めたのは、欄干上部の笠木に石材を用いることで地域らしさを表現するとともに、細い鋼材の組み合わせで住田らしい素朴さや現在の昭和橋が持つ慎ましさを意識した構造。笠木の下の鋼材は橋の外側は垂直に、内側は斜めとする。
 川沿いの蔵並みを見渡す際の「視線の抜け」にも配慮。これにより、周辺との調和が図られるほか「シンプルさ」「開放的」「手仕事感がある」といった印象も期待できるという。
 親柱の形状などは、事務局側でさらにデザインの検討を進める方針。委員からは、河川敷や蔵並みなどにつながる橋のたもと部分の構造のあり方も重要との発言があった。
 新たな橋では歩道と車道部に段差が生まれるため、照明をはじめとした安全確保の徹底を求める意見も。町が栗木鉄山跡を生かした教育や地域活性化を目指している中、銘板部分などに「たたら製鉄」の製品を取り入れるといったアイデアも寄せられた。
 また、架け替えを終えた橋の名称も話題に。町側は「どのように名称を決めるかも含め、議論はこれから」と答えた。
 次回の委員会は7月を予定。県側では、9月をめどに詳細設計を完了したい考え。以降、設計完了後の用地調整などに半年〜1年、工事は3年程度が見込まれるという。
 柴田委員長は「橋そのもののデザインも重要だが、護岸や橋を取り付ける部分の景観も重要。今後の議論は、こうした全体のデザインについて詰めていくためのステップとなる」と語る。
 昭和橋周辺は現在、コンクリートの護岸部が目立つが、今後の整備では水際の部分は自然素材の土や岩などを配置してゆるやかに護岸部に入り、緑が包む景観を目指す。橋の周辺には、親水空間も設けるとしている。