一般会計は235億円、31年度当初予算案 震災後最小規模に/大船渡市

 大船渡市は21日、平成31年度の各種会計当初予算案を発表した。一般会計は235億2400万円で、本年度当初比82億7500万円(26・0%)の減。復興関連事業の進ちょくに伴って本年度当初を下回り、東日本大震災後では最小規模での編成となった。市は復興計画登載事業の着実な推進を最優先にしながら、市まち・ひと・しごと創生総合戦略登載事業を展開。将来都市像「ともに創る 三陸の地に輝き躍動するまち 大船渡」の実現に向けた施策に取り組んでいく。

 

 31年度の一般会計と9特別会計の合計額は、364億4914万円で、本年度当初比91億4554万円(20・1%)の減。復興事業では、大船渡町の大船渡駅周辺地区における土地区画整理事業の基盤整備が本年度で完了する見込みとなっているなど、ハード面を中心に進展がみられ、本年度当初と比較しても収束傾向がより顕著となっている。
 一般会計の歳入をみると、最も多いのは地方交付税の72億4030万円。次いで、市税の42億903万円、国庫支出金33億4553万円、繰入金の31億1009万円などと続く。地方交付税や国庫支出金は、震災復興にかかる特別交付税や水産施設災害復旧負担金などの減に伴い、いずれも本年度当初に比べ減少している。
 市税は本年度当初比4851万円(1・2%)増と、ほぼ横ばい。個人市民税は15億3887万円で同2112万円の増、法人市民税は3億7624万円で同1325万円の増、固定資産税は18億463万円となり同2034万円の増となった。
 市税の増加について市は、「個人と法人の両市民税は景気の状況を、固定資産は新築家屋の増分を反映させた」としている。
 一方、歳入のうち自主財源は88億8023万円(37・7%)、依存財源は146億4377万円(62・3%)。本年度当初に比べ、依存財源の割合が1・7ポイント上昇した。
 歳出で最も多く割合を占めるのは、民生費59億7191万円。このほか、土木費38億3809万円、総務費36億9317万円、公債費20億3466万円、教育費17億9000万円、衛生費15億2209万円、災害復旧費13億3198万円などとなっている。
 各種事業の推進に充てる投資的経費は、45億5106万円で歳出全体の19・3%を占める。
 地方債残高は235億6947万円で、同4億2840万円の増。交付税措置などを除いた実質負担見込みは67億8801万円となり、人口(今年1月末現在、3万6537人)1人当たりの負担は18万6000円と同1万7000円増えた。
 復興計画登載事業は68事業、約46億3454万円で本年度当初より18事業、約67億349万円の減。新規の山口地区道路改良(1億6810万円)をはじめ、水産施設災害復旧(12億6093万円)、中赤崎地区道路新設・改良(3億1106万円)、被災市街地復興土地区画整理(5億2390万円)などを盛り込む。
 まち・ひと・しごと創生総合戦略登載事業は105事業、約32億7990万円。地方創生推進(8510万円)、教育用コンピュータ整備(1億723万円)、子ども医療費助成(6900万円)、保育の実施委託(7億9997万円)などに取り組む。
 新規事業は60事業、約14億1200万円。本年度当初より5事業増え、予算額では約8800万円減った。耐用年数が近づく新庁舎の整備にかかる経費の財源確保を図るための「市庁舎整備基金積立」(3億円)、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行うための「子育て世代包括支援センター事業」(380万円)、持続可能なまちづくり実現に向けて立地適正化計画策定にかかる調査を行う「立地適正化計画作成事業」(813万円)、「第一中新校舎および屋内運動場改築にかかる基本設計業務」(3500万円)などを計上した。
 特別会計は魚市場事業2億1690万円、介護保険介護サービス事業勘定942万円、同保険事業勘定44億6018万円、簡易水道事業6億3594万円、漁業集落排水事業1億2241万円、後期高齢者医療4億5594万円、公共下水道22億6243万円、国民健康保険事業勘定44億8402万円、同診療施設勘定2億7791万円。このほか、企業会計である水道事業会計の収益収入、資本収入を合わせた額は21億2620万円。
 戸田公明市長は、「限られた財源の重点的、かつより効果的な活用を図るべく、積極的な編成を行った。復興の総仕上げを一層加速すべく、全力を傾注していく」と述べた。
 各種予算案は、22日開会の市議会3月定例会に提出される。