被災跡地で「浜の停車場」具現化へ、碁石地区まちづくり協が整備スタート/大船渡(別写真あり)

▲ 被災跡地を利用した「浜の停車場」の具現化へ整備作業がスタート

 大船渡市末崎町の碁石地区復興まちづくり協議会(大和田東江会長)は23日、地元の碁石浜(碁石漁港)背後地で「浜の停車場」の整備作業に着手した。浜の停車場は東日本大震災による被災跡地を活用し、駐車場や憩いの場などを設けるもので、この日は日本大学の学生らとともに中尊寺ハスの移植やサクラの植樹作業を展開。地域中心で進める浜の停車場の具現化に向け、第一歩を踏み出した。

 

日大生らと植樹作業


 碁石地区では震災後、東京支援機構や日本大学などの外部機関と連携しながら、復興まちづくりに取り組んでいる。
 この中では、市が防災集団移転促進事業で買い取った被災跡地の利活用策も検討。碁石浜背後地については、協議会内に分科会「浜の停車場プロジェクトチーム」を設け、「碁石海岸を訪れる観光客の駐車場、人と人が交流を図る拠点」としての利用策を練ってきた。
 昨年6月には、首都圏から参加者を募って行った「碁石・観光モニターツアー」で、浜の停車場の具体的な構想を発表。
 構想によると、市や県が盛り土整地する被災跡地(面積1㌶弱)と、地権者らから借り受けるなどした隣接地を浜の停車場として一体的に整備。駐車場を開設し、サクラやツバキ、中尊寺ハスなどの花々で彩るとともに、現在は碁石海岸レストハウス前にある石製の碁盤「碁石浜」の移設、トイレや売店、展示室などの機能を備えた「番屋群」の建設、ビオトープの設置などを計画している。
 具体的な整備の第1弾となった今回は、地域住民5人が参加し、地元企業や地権者らの協力を得て造成した「花と水辺の広場」と、山手に位置する「蓮田」で作業を実施。作業は、22~24日の日程で行う第1回「浜の停車場・碁石共同創生プログラム」の一環にも位置付けられ、このために来市した日本大学生物資源科学部生物環境工学科の学生7人と教員2人も参加した。
 この日の作業では、午前中に株分けした中尊寺ハス20株を蓮田に移植。午後は、花と水辺の広場にオオヤマザクラ5本を植樹した。
 このオオヤマザクラは震災後、東京のNPO法人から寄贈を受け、これまで地域内で仮植えをしていたもの。高さ3㍍ほどに成長した木を住民と学生が力を合わせて植え、支柱立てや網掛け作業にも汗を流した。木の根元付近は、瓦をサクラの花の形に組んで花壇にし、シバザクラを植える計画という。
 震災後初めて来市したという太田海斗さん(4年)は、「被災した場所に地域の希望、憩いの場をつくる取り組みに携われてうれしく思う。今後、整備が進み、子どもが遊ぶ光景が広がってくれれば。植えたサクラは5年後ぐらいに咲くと聞いたので、そのときに合わせてまた訪れたい」と話し、充実した表情を見せていた。
 大和田会長(77)は「浜の停車場整備は地域独自の取り組みであり、今回が初めての作業。具現化にはまだまだ先があるので、市や県、民間機関などに働きかけ、手助けを受けながら進めていきたい」と話している。