「将来へ着実に歩みを」、神田町長が施政方針演述/ 住田町議会3月定例会
平成31年2月27日付 1面
住田町議会3月定例会は26日、開会した。会期を3月8日(金)までの11日間と決め、神田謙一町長の施政方針演述や3議員による一般質問が行われた。神田町長は、初当選を飾った一昨年の町長選時から強調してきた「医・食・住」を要とする重点施策を掲げ、将来を見据え着実に歩みを進める決意を込めた。一般質問は27日も午前10時から行われ、3議員が登壇する。
きょうまで一般質問
神田町長は、人口減少や少子高齢化と構造的な課題を抱える中、自らの意思や主体性を持った「変える意識」の大切さを強調。「この先を見据えた主体的な対応なくして、課題を乗り越えていくことはできない」と、力を込めた。
町ならではの魅力あふれるまちづくりを進める決意も示し「町政運営では『支え合う共生の町』を実現するため、引き続き医・食・住の三つの柱を中心とした重点施策により、将来をしっかりと見据えながら着実に歩みを進める」と語った。
重点施策のうち、保健医療の充実では、新たに開設する訪問看護ステーションとともに保健・医療・福祉・介護の関係機関が連携し、町民が安心して暮らせる取り組みを推進。食産業の振興では農畜産加工物の6次産業化などを掲げ、移住・定住の促進では「まず住んでみることから始められる環境」の提供に向けて新規起業・就業への支援制度活用をはじめとした仕事づくりに力を入れる。
平成27年度に町がまとめた「人口ビジョン・総合戦略・総合計画」は、新年度が取り組みの最終年度。次期計画の策定にも着手し、住民との意見交換会も実施する方針も掲げた。
人口対策では妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援に加え、上有住地区公民館改築事業にも言及。生活環境対策では、まち家世田米駅の活用をはじめ歴史的・伝統的な景観を生かしたまちづくりで交流人口拡大を図る中心地域活性化プロジェクトなどを掲げた。
所得対策のうち森林振興策では昨年に続き、川上から川下まで一貫した木材流通システムの核となる木工団地事業体の経営安定化を最優先課題に挙げた。木質バイオマスエネルギーやカーボンオフセット、森林認証制度、CLT(直交集成板)推進にも力を入れる。
神田町長は演述の結びに「限られた行政資源の中で全課題に行政が対応することは困難になっており、こうした状況を町民と共有し、一緒になって知恵を絞り、協働のまちづくりを進めるとともに、自ら先頭に立って本町の素晴らしさを県内外に売り込むトップセールスを積極的に展開し、未来を生きる世代に自信を持って託すことができる住田町をつくっていく」と、理解と協力を求めた。
引き続き、菊池宏教育長が教育行政演述。この中で、児童・生徒数の減少が深刻化する中で中学校の部活動への影響が懸念されている現状にふれ「本年度中に意識調査等の実施や意見を聞く機会を設け、慎重に検討を進めたい」と述べた。
一般質問には荻原勝、瀧本正德、佐々木信一(いずれも無所属)の3議員が登壇。このうち、荻原議員は住田高校存続への取り組みを取り上げ、入学者数確保などの成果をただした。
31年度の同校志願者数は32人で、前年比(推薦入学者を含む)で11人増加した。菊池教育長は「町内からの志願者が昨年よりも増えた」と答えたほか、今後も魅力化を図るさまざまな支援策を展開し、地域住民の同校に対する関心をさらに高めながら学校存続を支える方針も掲げた。
町の情報・魅力発信施策を質問したのは、瀧本議員。「情報発信は、観光・関係人口や移住策、ふるさと納税でも大きな要素」と、町ホームページの工夫や情報発信を進めるべきと迫った。
神田町長は紙媒体の広報すみたやパンフレット、映像媒体の住田テレビ、町ホームページ、フェイスブックそれぞれの特性を生かした活用を進めると答弁。町ホームページに関しては「保守契約の期間が新年度までとなっていることから見直しをかけ、町の強みである映像データを生かした情報発信の工夫をしたい」と語った。
佐々木議員は、道路整備の中で県道釜石住田線に対する本年度の調査費の詳細について質問。上有住の小松―中埣、土倉―大洞(滝観洞インターチェンジ)の両区間はとくに道路が狭く急カーブが続き、抜本的な改良が求められている。
神田町長は、調査費では両区間の問題箇所を抽出し、新年度は修繕などが計画されている半面、抜本的な改良計画には至っていないと説明。県側が「早期事業化は難しい」との姿勢を崩していない現状も明かしたうえで、釜石市などとも連携体制をとりながら県に対して要望を強化していきたい考えを示した。
今定例会の27日以降の日程次の通り。
▽27日=本会議(一般質問)▽28日=同(議案審議)▽3月1〜3日=休会▽4〜6日=予算審査特別委員会▽7日=休会▽8日=本会議(議案審議)