地域に合った担い手を、すみた山守育成プロジェクト/住田で講演会

▲ プロジェクト活動の方向性などが示された講演会

 すみた山守育成プロジェクト(平林慧遠代表理事)のキックオフ講演会は26日夜、住田町役場で開かれた。プロジェクト発足の趣旨説明や自伐型林業の推進を目指す事例報告などがあり、参加者は住民レベルで「山を守る」大切さを再確認。地域の実情に合った担い手育成を目指すプロジェクト活動への関心を高めていた。
 同プロジェクトは今月発足。林業に関する基礎技術をゼロから学ぶ機会をつくりながら担い手確保、チェーンソーや刈払機などを使った小規模な作業を実践できる住民を増やしていこうと活動するもので、細やかな森林管理や里山の生活文化継承などを見据える。
 講演会には、町内外から約30人が参加。平林代表理事がプロジェクトの目的や活動計画などを説明し、東北・広域森林マネジメント機構=仙台市=の三木真冴代表とNPO法人リアスの森応援隊=気仙沼市=の佐々木美穂事務局長が講演を行った。
 三木氏が所属する同機構は、森林資源の永続活用や自伐型林業の推進などに向け、地域の自立・発展につながる活動を展開。岩手、東北を舞台に研修会の開催支援や人材育成を行っているほか、三木氏自身も大船渡市内の山林を借り受け、間伐を実践している。
 リアスの森応援隊は、気仙沼市で山林にかかわる研修会を開催して担い手を増やすとともに、地域の発電施設に間伐材を供給する仕組みを支援する活動を展開。佐々木事務局長は、運営を担う実務者として活躍している。
 それぞれの事例紹介に続き、平林代表理事が住田や気仙での活動を見据えて両氏に質問。研修参加者の特徴では両氏とも、職場を定年退職した60代から林業に関心がある若者まで幅広い世代に関心を集めていることを紹介したほか、研修後はすでに実践している人につくなどして、人材育成につなげている実例を示した。
 また、森林組合が行う山林とのすみ分けができ、小規模の林地で活動するといった〝需要〟も話題に。平林代表理事は「定年後に相続した山を管理しなければならなくなった人が講習を受け始めるなど、地域で山に入り始めるきっかけをつくりたい」と、プロジェクト発足への思いを語った。
 同プロジェクトでは現段階で▽森林施業研修会(間伐・除伐技術等)▽手入れ不足の森林整備▽間伐材等の搬出事業▽木質バイオマス材の利用促進――などを見据える。活動に関する問い合わせは平林代表理事(project.yamamori@gmail.com)へ。