エンジニアの夢へ〝一歩〟、大船渡高1年の白澤君が8日からアメリカで研修

▲ 8日から米国の「SXSW」に参加する白澤君

 大船渡市でプログラミングを学ぶ白澤賢斗君(大船渡高1年)は、8日(金)から米国テキサス州オースティンで開かれる最先端テクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」で研修を行う。「岩手でエンジニアとして花開く」という夢への大きな一歩。渡航費を集めるために行ったクラウドファンディングへの協力者やICT関係者らの期待と応援を背に、海外で視野を広げる。

 

「岩手で花開きたい」

 

 白澤君がプログラミングを始めたのは、小学5年生のころ、ネット上で動画を投稿し広告収入を得る「ユーチューバー」に憧れたことがきっかけ。さまざまなパソコン操作を覚える過程でソフト開発に興味を持ち、システム開発の有名ソフト「Visual Studio」(マイクロソフト社)で勉強を開始した。
 簡単なソフトを自作できるようになった中学生時代は、「趣味のプログラミングを社会に生かせないか」と考えるように。3年生の時、市が「スマートキャリア推進事業」の一環で盛町に開設した「大船渡テレワークセンター」に通うようになり、同事業を受託する㈱地域活性化総合研究所(新沼謙治社長)のプログラミング塾・上級クラスで、さらに技に磨きをかけた。
 昨年7月には、同研究所が市内で主催したイベント「TECK OFUNATO」で作品を公開。当時、高齢者らの健康被害で話題になっていた「ヒートショック」を防ぐシステムを制作したところ、高い技術や熱意が認められ、SXSWに出展経験のある、福島県会津若松市の㈱Eyes,JAPANの山寺純社長に渡米の話を持ちかけられた。
 SXSWは、最新のエンターテインメントやテクノロジーを世界に発信するイベント。国内外の技術者たちが一堂に会し、作品展示やワークショップなどを展開する。
 同研究所とEyes,JAPANは、若きプログラマーにより広い世界を知ってもらおうと、共同で「ICT海外研修プログラム」を立ち上げた。同プログラムの一環で、研修の実施が決まった。
 白澤君は「自分の意志で動くことだから、渡航費も自分で集めたい」と、ネット上で資金を募る、本県のクラウドファンディングサービス「いしわり」を利用。25万円を目標額に定めたところ、サイトへの掲載からわずか13時間で目標額を達成。その後も金額は増え続け、4日正午現在で53万円余りと、大きな反響を見せている。
 全国の協力者111人からの熱いメッセージも添えられ、白澤君は「こんなに多くの人に応援してもらえるとは思っていなかった。最初はプレッシャーも感じたが、今では〝やるぞ〟という気持ちが勝っている」と語る。
 SXSWの開催期間は8~17日(日)。白澤君はイベント初日から5日間アメリカに滞在し、山寺社長や日本の大手ITメーカー、ベンチャー企業、大学の関係者とも交流しながら最先端技術に触れる。
 「いろいろなものを知り、世界に追いつきたい。さらに、その技術を都会ではなく、地元から発信したい」と〝野望〟に燃える白澤君。「将来の夢は、フォトショップなどのような、大きなソフトの開発に関われるエンジニアになること。そのためにも今回、アメリカでいろいろな経験ができれば」と意気込んでいる。
 白澤君は後日、市内で研修の成果発表を行う予定。