縦・横軸で岩手が〝一つ〟に、吉浜釜石道と釜石花巻道が同時開通(別写真、動画あり)
平成31年3月10日付 7面

三陸沿岸道路「吉浜釜石道路」(延長14㌔)と「釜石山田道路」(同23㌔)にまたがる釜石南インターチェンジ(IC)─釜石両石IC間の14・6㌔、東北横断自動車道釜石秋田線「釜石花巻道路」(同80㌔)の釜石ジャンクション(JCT)─釜石仙人峠IC間の6㌔が9日、供用開始され、吉浜釜石道路と釜石花巻道路が全線開通した。これにより、内陸部と沿岸部が初めて高速交通体系で結ばれ、大動脈が形成された。同日は釜石JCTと釜石仙人峠の中間地点で開通式が行われ、安倍晋三首相ら関係者や地域住民が縦・横軸の道路ネットワーク直結による復興けん引、広域周遊ルート形成による観光振興など、整備効果発揮による岩手全体の活性化に期待を込めた。
沿岸と内陸結ぶ大動脈形成

関係車両による通り初めも行われた
開通式には国、県、関係市町村、用地提供者ら合わせて約200人に加え、多くの地域住民らが出席した。
はじめに、達増拓也知事、野田武則釜石市長、国交省の池田豊人道路局長が用地提供者や関係者に感謝を込めながらあいさつ。
鈴木俊一衆議院議員、平野達男、木戸口英司両参議院議員の祝辞のあと、釜石シーウェイブスRFCの桜庭吉彦ゼネラルマネジャー兼監督もあいさつし、整備効果の発揮に期待を込めた。
このあと、安倍首相が会場入りし、「縦軸と横軸が結ばれたことを皆さんとともに喜びたい。被災した沿岸部と内陸部のさらなる連携に寄与するとともに、産業の発展、観光交流の拡大が一層推進されるよう政府一丸で取り組んでいく。三陸沿岸はもとより、遠野や花巻など、世界中から魅力あふれる岩手への来訪を期待している」と述べた。
関係者によるテープカットのあと、通り初めが行われた。関係車両60台が次々と道路を渡り、訪れた地域住民らも大きく手を振りながら開通を喜んだ。
同日午後3時に一般通行が可能となり、多くの車両が真新しい道路を走り抜けた。
復興道路として整備が進められている三陸沿岸道路は、宮城県仙台市から青森県八戸市までの三陸沿岸を結ぶ総延長359㌔の自動車専用道路。
気仙では震災後、「高田道路」(延長7・5㌔)が平成25年度、「吉浜道路」(同3・6㌔)が27年度、「唐桑高田道路」(同10㌔)のうち陸前高田長部IC─陸前高田IC間の6・5㌔が昨年7月、吉浜釜石道路のうち吉浜IC─釜石南IC間の5㌔が昨年8月にそれぞれ供用を開始。16年度までに開通した「大船渡三陸道路」(同17・6㌔)と合わせると、これまでに40・2㌔がつながっていた。
今回、吉浜釜石道路のうち、釜石市内を通る釜石南IC─釜石JCT間の9㌔がつながり、これにより吉浜釜石道路は全線開通を迎えた。
さらに、釜石山田道路のうち釜石JCT─釜石両石IC間の5・6㌔が同時開通となり、県内の三陸沿岸道は213㌔中122㌔が供用済みに。31年度に釜石北IC─大槌IC間(同4・8㌔)が開通すると、宮古市から陸前高田市までが一本の道でつながる。
沿岸と内陸間の物流効率化による産業活性化のほか、津波浸水区域を回避した緊急輸送道路の信頼性が確保されるなど、開通によるさまざまな整備効果が期待される。
一方、釜石花巻道路は花巻市と釜石市を結ぶ道路で、これまでに釜石JCT─釜石仙人峠IC間を除く73・5㌔が供用。今回の開通によって三陸沿岸道と結節され、縦軸と横軸が高速交通体系でつながった。
21日(木)には、三陸沿岸道路「唐桑高田道路」(同14㌔)の唐桑小原木IC─陸前高田長部IC間の3・5㌔が開通し、釜石市─宮城県気仙沼市間が一本の道でつながる。