4月から新たに運用へ 水門・陸こう自動閉鎖システム 大船渡の3地区で

▲ 4月1日からシステムの運用が開始となる茶屋前地区の陸こう

 県は4月1日から、大船渡市大船渡町の大船渡港茶屋前地区の陸こう、同月19日から三陸町越喜来の下甫嶺地区と泊地区の水門で、「水門・陸こう自動閉鎖システム」の運用を開始する。気仙管内での同システムの運用開始は、茶屋前が2地区目、下甫嶺、泊が3、4地区目となる。東日本大震災を教訓に、消防団員が水門・陸こうの閉鎖作業で津波災害に巻き込まれないよう自動化を図るもので、県は今後、県内約220基の水門・陸こうで自動閉鎖システムを導入していく。

 

 同システムは、国が発令する津波注意報・警報を県が全国瞬時警報システム(Jアラート)で受信すると、衛星回線を通じて施設に閉鎖命令が出され、自動で水門・陸こうが閉鎖されるもの。
 沿岸部の水門・陸こう約520基のうち、約300基は常時閉鎖やフラップゲート式となり、残る約220基が自動閉鎖の対象となる。
 震災により、本県では水門・陸こうの閉鎖作業に当たった消防団員48人が犠牲になった。県では消防団員が現地へ向かうことのないように自動閉鎖システムを導入し、安全かつ迅速・確実な閉鎖につなげる考え。
 閉鎖開始前にはサイレンや音声、回転灯、電光掲示板などで閉鎖を知らせるほか、避難し遅れた場合でも階段などで陸側に避難することができる。異常が起きて自動閉鎖されない場合は、遠隔操作で対応する。
 地震発生から閉鎖指令受信までは約5分、その後、閉鎖・避難などを周知する0~10分の「待機時間」を経て、約4分かけてゲートが閉鎖される。
 待機時間は地区ごとに異なることから、今後、避難訓練の結果や住民からの意見を反映させながら時間を設定していく。
 いずれの水門・陸こうも、本県の過去最短の津波到達時間である24分以内には閉鎖となる仕組みで、最長でも約19分となる。
 気仙では平成29年8月から、大船渡市赤崎町の合足農地海岸で同システムが運用開始となった。
 気仙では2地区目の運用となる茶屋前地区は現在、一部水門工事を除いて延長約1㌔、T・P(東京湾平均海面)7・5㍍の防潮堤が完成。この防潮堤の陸こう3カ所が自動閉鎖の対象となっている。
 三陸町越喜来では、30年3月に完成した越喜来海岸の防潮堤(延長0・9㌔、T・P11・5㍍)の泊水門、下甫嶺海岸の防潮堤(延長0・4㌔、T・P11・5㍍)の甫嶺水門と矢作水門にそれぞれ自動閉鎖システムが導入されている。
 気仙管内で自動閉鎖システムが導入される水門と陸こうは100余で、全体のおよそ半分を占めており、県では国の復興・創生期間内の32年度末を目標に整備を進めていく。
 県大船渡土木センター復興まちづくり課の阿部忠課長は「ハード面での整備は進んでいるが、地震が来たらまずは避難するという意識を持っていてほしい」と話していた。