東京五輪の聖火 大船渡に 「復興の火」として展示へ 来年3月23日に中心市街地で

▲ 津波被害からの復興が進む大船渡の中心市街地。2020年東京オリンピック・パラリンピックの聖火を「復興の火」として展示する計画が発表された

 開催まで500日を切った2020年東京オリンピック・パラリンピック。大会組織委員会(森喜朗会長)などは12日、来年3月に聖火を「復興の火」として、岩手、宮城、福島の東日本大震災の被災3県で展示する計画を発表した。大船渡市の津波復興拠点整備事業区域も展示場所の一つとなっており、内外に向けた被災地の現状発信や交流人口拡大につながるものと期待される。

 

大会組織委が発表

 

 大会組織委は「復興五輪」の趣旨を踏まえて、被災3県、復興庁、国際オリンピック委員会などとの協議のうえ、「復興の火」の巡回展示場所と、聖火リレーのグランドスタート会場を決定したと、同日付で発表。
 「復興の火」は、聖火リレーの一環として実施するもの。2020年3月12日に古代オリンピック発祥の地ギリシャで採火後、同20日に宮城県の航空自衛隊松島基地に到着し、同日から同25日までの間、宮城、岩手、福島の順に展示していくこととしている。
 このうち、本県は22日に宮古駅―釜石駅―花巻駅を走る三陸鉄道とJR東日本の「SL銀河」車内と、23日に大船渡市大船渡町の津波復興拠点整備事業エリアで展示する計画が示された。
 このうち、被災した大船渡駅周辺地区の中心市街地の早期再生を図ろうという津波復興拠点整備事業エリア(約7・7㌶)は、被災事業者らが集まったキャッセン大船渡、おおふなと夢商店街などの商業施設に加え、市の防災観光交流センター「おおふなぽーと」、JR大船渡線BRT大船渡駅、交通広場などがこれまでに整備され、〝まちの顔〟として歩み始めている。
 「復興の火」の具体的な展示場所などにかかる話し合いは、これから本格化していくものとみられる。防災観光交流センター内に事務所を置く市観光物産協会の金野博史事務局長は、「震災から8年を経たところだが、発表を聞いて驚いた。内外の人々が大船渡への関心を高めるきっかけとなり、復興を後押ししてくれるのではないか。市内全体が明るい話題に包まれることを願いたい」と期待を寄せる。
 聖火リレーのグランドスタートは同26日に福島県楢葉町・広野町の「Jヴィレッジ」で行われる。平成9年に日本初のサッカーナショナルトレーニングセンターとして開設され、サッカー日本代表の合宿地としても利用された施設で、東日本大震災後は原子力発電所事故対応の拠点としても使われ、今年4月に全面再開を迎える。聖火はここからスタートしたあと、121日間で47都道府県を巡る予定という。