地域で〝できること〟探る 市民向け公開講座 「まちもり大学」開講 大船渡(別写真あり)

▲ 大船渡でまちづくりに取り組む講師陣を迎えて開講したまちもり大学

 大船渡市大船渡町の㈱キャッセン大船渡(田村滿社長)による市民向け公開講座「大船渡まちもり大学」は13日夜、キャッセンコミュニティスペースで開講した。初回は講義と分科会が行われ、受講生らはまちづくりに携わる市民2人から活動の経過や大船渡への思いなどを聞き、自身が地域を持続させ、盛り上げるために取り組みたいこと、できることを探った。同大学は今後、月に1回のペースで開設する計画で、広く受講を呼びかけている。

 

 同大学は、新たなコミュニティー形成に向けた学びの場を通じ、まちづくりの主役となる人材を育てようと新設。同社によるエリアマネジメント事業の一環として、大船渡駅周辺地区の津波復興拠点整備事業区域におけるまちづくり活動、借地人企業・団体に所属する若手人材の育成にも位置付けている。
 企画を担当したのは、同社のインターン生で東京大学教養学部文科三類2年の藤田太郎さん(21)。「まちもり」の名には、「まちを盛り上げる」と「まちを守る」の二つの意味を持たせ、「100年先までまちが維持され、にぎわい続けてほしい」との願いを込めた。
 初回の講義には、一般市民をはじめ、津波復興拠点整備事業区域の借地人企業・団体の若手従業員ら27人が参加。大学の趣旨や今後のスケジュールの説明に続き、講義「まちもり学〜街守人(まちもりびと)に聞く〜『彼らはなぜ一歩踏み出せたのか』」を展開した。
 この日の講師は、地元出身の熊谷雅也氏(66)=イー・ピックス、㈲大船渡印刷代表取締役社長=と、新沼崇久氏(48)=海山酒場、ノイマーレ代表。2人とも大船渡青年会議所(JC)のOBでもある。
 両氏は、自身の生い立ちやJC等で取り組んできたまちづくり活動の内容などを紹介。また、キャッセン大船渡の臂徹取締役(39)がモデレーターを務め、受講生からの質疑も交えながらの意見交換も行った。
 熊谷氏はJCでサンタ・マリア号大船渡入港記念事業などに携わった経験を通じ、個性あるまちづくり、仲間づくりの必要性を強調。「まちは思いを形にするところ。思いを形にできる仲間がいてこそ、可能になる」と語り、自身が活動を楽しむ大切さにも触れた。
 新沼氏は、JC時代に大船渡ロックフェスティバルを開催。活動を通じて自身の考えを伝える難しさを実感したといい、人づくりの重要性にも言及しながら、「活動の根底には、大船渡が好きという思いがある。今後も大船渡らしいイベントをつくっていきたい」と述べた。
 講義後は分科会として、受講生が3グループに分かれて感想を述べ合ったり、講師に質問を行った。受講生らは「仲間をつくってまちづくりに取り組んでいく大切さを学んだ」「まちづくりの根底にあるのは気持ちだと思った」などと話し、今後の学びへとつなげていた。
 藤田さんは「大学を新たな出会いを創出する場にし、皆さんと一緒に形にしていきたい」と、今後の展開に思いを新たにしていた。
 第2回講義は4月12日(金)に予定しており、テーマや講師などの詳細は後日決める。6月ごろからは講義のほか、受講生がやってみたいことに取り組む「ゼミ」もスタートする計画。主催者側では多くの受講を呼びかけている。