グランプリは大和田さん みんなの夢アワード 渋柿の「カキ酢」作り提案 陸前高田(別写真あり)
平成31年3月19日付 7面

陸前高田市の起業プランコンテスト「みんなの夢AWARD(アワード)in陸前高田2」は17日、高田町の市コミュニティホールで開催された。陸前高田を豊かにするための起業アイデアを現実のものとするため準備を進めてきた出場者5人が、それぞれのビジネスプランを披露。審査の結果、高齢者の力の活用し、渋柿でカキ酢を作りたいと訴えた大和田加代子さんがグランプリを、カキを中心とした広田湾産海産物の第6次産業化モデルをアピールした藤田敦さんが準グランプリを受賞した。2人は副賞の「夢支度金」を受け取り、今後の事業化を目指す。
〝地域資源〟生かす事業に評価
夢アワードは地域に雇用と活気を生むための起業・第2次創業プランについて語るコンテストで、同市では昨年に続き2回目の開催。出場者は、少子高齢化や過疎化といった課題解決に寄与する事業モデルを提案し、協賛企業が資金援助や商品の提供、ノウハウ指導といった形で「夢」をバックアップする。
今回は、陸前高田市の大林孝典さん、藤田敦さん、大和田加代子さん、東京都在住の宍戸那央樹さん、昆野玲さんが「ファイナリスト」として出場。夢アワードを創設した市参与の渡邉美樹氏(ワタミ創業者)を委員長に、伊東孝陸前高田商工会長、遠藤公治岩銀高田支店長、渡邊智惠子㈱アバンティ代表取締役が審査員を務めた。
ファイナリスト5人はそれぞれ、新しい農業形態と健康づくり、日本酒と若者を絡めた「ムーブメント」の創出、バイオマス発電による電力を地域貢献意識が高い層へ販売するアイデアなど、それぞれが描く〝夢〟をプレゼンテーションした。
発表後には、その夢を「応援したい」と思った協賛企業がプラカードを挙げて意思表示。観覧者も共感できたプレゼンに対して「いいね!」と書かれた紙を掲げ、出場者の意欲を刺激した。
審査委員たちは、「社会性があり、誰もが共感できるか」「実際に雇用を生み、地域経済に寄与できるか」といったポイントを踏まえ、事業内容の穴も厳しく指摘しながら、出場者の夢が実現するよう前向きにアドバイスを送った。
観客からの投票をふまえた委員らによる審査の結果、グランプリには大和田さんを、準グランプリには藤田さんを選出。それぞれ10万円、3万円の〝支度金〟が贈られた。受賞を逃した出場者に対しても、事業計画に賛同する企業がその実現のためのサポートにあたるという。
大和田さんは、高齢者が自分の役割を持つことで生き生き暮らせることや、気仙管内の至るところにある「渋柿」に注目。「放っておかれているカキを使い、カキ酢を生産する。お年寄りたちの知恵と経験、時間を活かし、介護予防にもつなげよう」と訴えた大和田さんのアイデアは、すでに地域にある〝資源〟と〝力〟を活用するという点が高く評価された。
大和田さんは「本当にうれしい。陸前高田の明るい未来を築くために、みんなで頑張っていきたい」と語った。