外国クルーズ船誘致へPR 米国のクリスタル社副社長が視察で来市 大船渡(別写真あり)

▲ クリスタル・クルーズ社のドセカル副社長㊧が大船渡港などを視察

 アメリカ・ロサンゼルスのクルーズ会社「クリスタル・クルーズ社」のクラウディウス・ドセカル副社長は18日、大船渡港などを視察した。同社が運航を予定する新たなクルーズ客船の寄港地を検討すべく訪問したもので、野々田ふ頭と碁石海岸に立ち寄り、港の規模や環境、大船渡を代表する観光地の魅力を自らの目で確認。戸田公明市長も自らPRを図り、積極的に誘致を働きかけた。

 

 クリスタル・クルーズ社は昭和63年、日本郵船が設立した高級クルーズ会社。平成27年からは、ゲンティン・グループのゲンティン香港が運営している。クリスタル・クルーズ社が18年まで運航していた客船「クリスタル・ハーモニー」は、その後、日本国内最大の客船「飛鳥Ⅱ」(5万142㌧、郵船クルーズ㈱)に衣替えして大船渡港にも寄港している。
 クリスタル・クルーズ社では現在、クリスタル・シンフォニー(5万1044㌧、全長238㍍、定員960人)とクリスタル・セレニティ(6万8870㌧、全長250㍍、定員1080人)を運航。世界最高峰のもてなしが特徴の高級クルーズ船として、高い人気を誇っている。
 2020年には、新たな客船「クリスタル・エンデバー」(2万5000㌧、全長183㍍、定員200人)を就航予定。同社では、この新造船で2021年ごろに寄港する港を検討しているという。
 今回の視察は、北陸信越運輸局による外国クルーズ船招請事業により、新造船の新たな寄港先を探ろうと実施。ドセカル氏は今月17~25日(月)の日程で、北海道・函館から東北、北陸の主な港、観光地を視察する計画としており、この一環で同運輸局や事業を受託するソフトバンク㈱、県の担当者らとともに大船渡入りした。海外のクルーズ会社による大船渡港の視察は、昨年11月に続いて通算4回目となった。
 ドセカル氏は午後2時過ぎに野々田ふ頭を訪れ、戸田市長や市観光推進室の職員らが歓迎。戸田市長は英語で、大船渡港に飛鳥Ⅱをはじめとする国内の代表的な客船が寄港していることや、東日本大震災後の復興支援を通じたアメリカとの絆などを説明した。そのうえで、「クリスタル・クルーズ社の客船が、大船渡港に入港する外国船のナンバーワンになってほしい」と、期待を込めて呼びかけた。
 また、湾内の運航、大船渡の産業、観光地などにも話題がおよび、ドセカル氏は「大船渡湾の風景が美しい」と高く評価。さらに、「入港時は、港にできるだけ近い観光地を乗船客に案内したい」と、碁石海岸の視察を要望した。
 ドセカル氏の意向を受け、一行は碁石海岸へ移動。ドセカル氏は、穴通磯と乱曝谷の展望台を巡り、その壮大な光景をじかに確認した。さらに、穴通磯の間を観光船でくぐる体験型観光にも高い興味を示した。
 市観光推進室の鈴木弘室長は「外国クルーズ船の視察で、碁石海岸を直接見てみたいと興味を示されたのは、今回が初めてで、とてもうれしかった。飛鳥Ⅱの実績もあるので、誘致実現につながってほしい」と話していた。