芽吹き誘う赤い炎 下有住の蕨峠で山焼き すみた里山を守る会(別写真あり)

▲ 斜面一帯の雑草が炎に包まれた山焼き

 住田町の「すみた里山を守る会」(紺野昭二会長)は19日、下有住字奥新切地内の蕨峠町有地で山焼きを行った。会員らは自生するワラビなどの芽吹きを促す火を入れ、勢いよく上る赤い炎に里山の恵みへの期待を込めた。
 守る会は、伝統的な山焼き手法の取得と継承を目指し、平成20年に結成。山菜栽培にも力を入れ、遠野市境に位置する蕨峠町有地の一部で、山焼きとワラビ発生状況調査の実証を行っている。
 山焼き作業は、前の年に伸びた雑草などを焼き、新たな草花や山菜が芽吹きやすい環境を整えるもの。蕨峠につながる県道は冬期間は通行止めになっており、道路の一部には積雪が残る。ここ数日は晴れ間が続き、火を入れやすい環境が整った。
 この日の作業には、守る会や町役場農政課の職員ら10人余りが参加。携行用のガスバーナーを使ってカヤなどに着火した。
 風にあおられた炎は「パチッ、パチッ」という音とともに、勢いよく燃え広がった。白い煙が消えた後は、着火前とは一変した真っ黒の地面があらわになった。
 着火作業を行った同会の泉田晴夫さん(66)=上有住=は「自然の食材が、健康にはいちばん。昔ながらの料理を楽しもうと高齢者の方々が多く訪れるだろうから、安全に、たくさん採ってほしい」と話し、期待を込めていた。
 例年5月には、山焼きを行った約2㌶の丘陵地一帯は〝ワラビの森〟と化す。守る会では収穫期を見定め、一般の人に収穫してもらう観光農園事業の実施を計画する。