世田米中の〝宝〟一冊に 木工作品集を発刊 住田

▲ 生徒たちの力作をまとめた「木工作品集」を刊行

 住田町立世田米中学校(佐藤智一校長、生徒63人)は、昭和61年から歴代の特設木工部生徒が完成させた力作をまとめた「木工作品集1986―2018」を発刊した。毎年、教職員らの指導を受けながら創作に励み、全国的にも知られる伝統として定着した歩みを振り返る一冊。制作に取り組んだ卒業生らに無料配布している。

 

取り組んだ卒業生らに配布
30年超の歩み紹介

 

 同校は昨年度、文部科学大臣優秀教職員組織表彰を受賞。昭和61年度に特設木工部を設立して以降、地域の森林環境学習を深めながら、全国木工工作コンクールなどで継続的な全国入賞を果たしてきた功績が評価された。歴代作品の一部は町役場などに展示され、町が掲げる「森林・林業のまち」の発信にも貢献している。
 受賞を記念し、30年以上にわたる木工工作の取り組みをまとめることで、後進の生徒たちの励みにしてもらおうと作品集を刊行。昭和61年度〜平成30年度分をまとめ、県や全国の各コンクールの受賞記録や、53作品の図版を収録した。
 図版では、学校に保管されている作品を年代別に紹介。全体の外観に加え、細部のこだわりを伝える写真も数枚並べている。
 船や寺社、生物、家具、空想の世界表現など、作品の特徴は年代ごとに異なり、それぞれ個性が光る。各種コンクールでの受賞結果に加え、作品によっては制作時のこだわりやエピソードを伝える文章も添えた。
 巻頭では、佐藤校長に加え、菊池宏教育長、取り組み始めた当時指導にあたった内海行英元校長、同校卒業生でもある松高正俊前校長の寄稿文を掲載。活動の素晴らしさや、生徒たちのがんばりを支えた教職員の熱意、地元事業所の協力などにふれている。
 自身も平成28〜30年度に制作指導を行った佐藤校長は「木工作品は、世田米中の宝物。歴代の生徒たちは、先輩たちが築いた伝統に恥じないよう教職員の指導を受けながら創意工夫を重ね、それが作品の広がりにつながった」と語る。
 A4判カラー68㌻で、350部発刊。歴代の指導者8人や町教委、気仙両市の図書館などに寄贈を予定しているほか、制作に励んだ263人の卒業生にも配布を始めた。
 受け取った一人で、町職員の中舘保さん(23)は22年度に「帆船」の制作に携わった。全国児童生徒木工工作コンクール全国大会で農林水産大臣賞に輝いたが、東日本大震災の影響で23年6月に埼玉県で予定されていた表彰式は中止となった。
 当時の思い出を振り返りながらページをめくり、「仲間の生徒たちや教職員の方々と、楽しく和気あいあいとやっていた。木工制作は、ずっと続いてほしい」と話していた。
 同校では、制作に携わった卒業生や家族が作品集を受け取りに来るよう協力を求めている。問い合わせは同校(℡46・3155)へ。