〝書評合戦〟で全国頂点 「おすすめ本」の魅力伝える 大船渡高1年の熊谷君

▲ ビブリオバトルの全国大会で優勝を果たした大船渡高1年の熊谷君。25日の全校集会でその書評を披露してみせた

 大船渡高校1年の熊谷秀人君=高田東中出身=が、奈良県生駒市でこのほど開かれた「第4回ビブリオバトル全国大会inいこま」(同実行委主催)で優勝した。ビブリオバトルは、会場に集まった「本好き」たちにおすすめの一冊の魅力を語る「知的書評合戦」ともいわれる競技。熊谷君は優勝を喜ぶとともに、「東北でも広がってほしい」と期待を込めている。
 ビブリオバトルは、自身の「おすすめ本」について5分の制限時間内で魅力を語り、これを聞いて「読んでみたい」と思った観戦者の数で勝敗を決めるもの。
 熊谷君は校内予選を経て昨年11月、「ほんのまち」を掲げる青森県八戸市で昨年11月に開かれた「第5回ビブリオバトルin八戸」(デーリー東北新聞社、八戸学院大学主催)で、「そして、バトンは渡された」(瀬尾まいこ著)を紹介し、高校生としては初優勝を果たしていた。
 〝東北代表〟として臨んだ「全国大会inいこま」は生駒市図書館で開かれ、広い世代の35人が出場。およそ300人の観戦者を前に、それぞれの思いを込めた書評を交わし合い、決勝に進む5人と、その中から優勝者1人を絞り込んだ。
 熊谷君は、原田マハさんの小説「本日は、お日柄もよく」を紹介。スピーチライターという職業を軸として言葉の持つ力を伝える作品だ。
 書評の中で、震災後に兵庫県尼崎市に招かれた自らの家族が、阪神・淡路大震災の経験者から励まされたエピソードを交え、「わたしも日常使っている言葉を大切に、誰かを支えていきたい」と語り、観戦者の心を動かした。
 離任式などがあった25日の全校集会で優勝を報告し、書評も披露。「八戸での予選を抜けた時点で達成感があったので、全国大会ではリラックスして話すことができた。それだけに優勝という結果は驚いた。とてもうれしい」と笑顔を見せた。
 ビブリオバトルの大会があることを知ったのは高校に入ってからといい、「プレゼンテーションをするのが好きな方なので、大会は自分に合っていると思った。ほかの出場者のユニークな語りやマニアックな話も参考になる。東北でも広がっていってほしい」と話している。