どう動く住田町議選 前回は初の無投票 告示まで残り半年切る

▲ 議員任期満了まで半年を切った住田町議会

 9月17日(火)告示、同22日(日)投開票の住田町議会議員選挙(定数12)まで、6カ月を切った。4年前の前回選は、町制施行後初の無投票に終わり、有権者が一票を投じる機会が失われたほか、議員の「なり手不足」を露呈。今選挙に向けては、現段階で態度が固まっていない現職が多いほか、新人擁立の動きも表面化しておらず、関心はこれからといったところ。地域住民の身近な代表を選ぶ重要な機会であり、8年ぶりの競争選となるかが当面の焦点となる。

 

「なり手不足」打破なるか

 

 9月30日(月)の任期満了に伴う町議選は、昭和30年の町制施行後通算17回目。同8日(日)投開票の知事選・県議選後に行われ、現段階では気仙の〝選挙イヤー〟を締めくくる選挙となる。
 平成27年の前回選は、定数12となって2回目の選挙。現職出馬は11人で、新人は勇退議員の後継として挑んだ1人にとどまった。有権者は貴重な一票を投じる機会が奪われるとともに、議員の「なり手不足」が浮き彫りとなった。
 一昨年に行われた定数1の町議補選でも、告示まで残り10日の段階でも出馬の動きが見られず、定数割れの危機が続いた。1週間前に新人1人が自主的に起意を示したものの、無投票となった。
 有権者数の減少も続いており、一部住民からは定数見直しを求める声がある半面、現職町議らの中では議会運営に支障をきたすとの声も。3月定例会の期間中、具体的な議論には至らなかった。
 現職の地区別動向をみると、最大票田の世田米(3月1日現在有権者数2841人)では、補選で初当選を飾った荻原氏と副議長の阿部氏、最年少の佐々木(信)氏が出馬の見込み。
 一方、検討中とする現在1期目の佐々木(初)氏は「6月定例会前後に固めたい」と語る。瀧本氏も支援者らとの協議を経て、5月以降に判断する姿勢。菅野氏は「周囲から出馬を促す声は受けているが、体調面などを考慮して考える」としている。泉田氏は「出ない方向。後継擁立も今は考えていない」と述べ、勇退の可能性が高い。
 下有住(同657人)では、高橋氏の6選出馬が濃厚。共産公認の佐々木(春)氏も、これまでの現職経験を生かし、出馬準備に入るとみられる。
 上有住(同1369人)では、5選を目指す林﨑氏と、前々回選トップ当選の村上氏が出馬の構え。議長の菊池氏は明らかにしておらず「態度決定は6月前後になるだろう」としている。
 元職のうち、上有住在住で一昨年の町長選出馬に伴い辞職した水野英哉氏(63)は不出馬を明言。一方で「地元(両向地域)から長年議員が出ており、立候補者が出るよう期待している」と話す。
 選挙戦となった8年前の前々回選の結果を見ると、トップ当選は589票で、最下位当選は209票。投票率は80・76%だった。
 現職の一人は「4年前に選挙がなく、高齢化が進み、後援会組織や支持基盤を再構築させるのは難しい。ただ、新人擁立も前回無投票だった分、ノウハウを知る人が少なく、支援体制をつくるのは大変では」とみる。
 町内では、地域や世代を問わず、多様な人材が参画した形での議会運営を望む声が多い半面、新人出馬の表立った動きは見られない。昨年11月、町婦人団体連絡協議会は初めて「女性議会」を行ったことから、初の女性議員が誕生するかにも注目が集まっている。
 現在、少子高齢化と人口減少に直面している住田町。基幹産業である農林業の担い手確保や遊休農地解消、にぎわい創出につながる交流人口拡大など、さらなる強化が求められる施策は多岐にわたる。有権者が自らの声を反映できる代表を選択し、議会活性化や地域振興につなげることができるか、今後の関心の高まりが期待される。
 町選挙管理委員会では、8月下旬に立候補予定者説明会を予定。3月1日現在の町全体の有権者数は4867人(男2376人、女2491人)。前回選告示前日と比べ、297人少ない。