県が普及へ実証実験 キャッシュレス決済 8月から6カ月間で
平成31年3月28日付 2面

本県が総務省の「モバイル決済モデル推進事業」の実証地域に選定され、来年度からキャッシュレス決済導入を推進する実験に取り組む。花巻空港の国際定期便運航、ラグビーワールドカップ2019の釜石開催など、訪日外国人旅行客の増加が見込まれる中、商工団体や金融機関と連携しながら、県内中小、小規模事業者への導入を進めてインバウンド対応など環境整備を図っていく。
同事業は、モバイル端末を用いたキャッシュレス決済を小規模店舗を含めて広範囲に普及させるために、QRコード決済の使用と業務を標準化し、安価な手数料での提供について検証するもの。本県や長野県、和歌山県、福岡県の4県が実証地域に選定された。総事業費は8億5000万円。
スマートフォンなどによるキャッシュレス決済は、サービス提供会社によって仕様が異なるが、実験では統一仕様のQRコードを用意して〝入り口〟を一本化し、QRコード読み取り後は、どの決済サービスでも利用できるようにする。また、通常は店舗側に決済額の5%前後の手数料がかかるが、1%程度に抑える。
4月から準備期間を設け、市町村単位での説明会や参加小売店舗の取りまとめ、統一アプリの開発などを進め、8月から来年2月までの6カ月間で地域への普及などについて実証。本県では2000~3000店舗での導入を目指す。
国の商業統計によると、本県の平成26年度のキャッシュレス決済比率は10・59%で全国42位、キャッシュレス決済対応店舗は26・2%で全国38位。
外国人観光客の増加を見込んだ受け入れ環境整備には、電子決済の普及が欠かせない。 県商工労働観光部経営支援課の熊谷正則総括課長は「業務の効率化による人手不足解消にもつながる。今年は外国人含め多くの観光客が訪れることが予想されるので、実証地域に選定されたこの機会を生かしてキャッシュレス化を促進していきたい」と話している。
インバウンド対応が急がれる中、大船渡駅周辺地区のエリアマネジメントを担うまちづくり会社・キャッセン大船渡(田村滿社長)では昨年6月ごろから、キャッシュレス決済の本格導入を進めている。現在はキャッセンエリアで10店舗ほどがキャッシュレス決済を導入しているといい、同社の臂徹取締役(39)は「商業者、消費者双方の利便性を考えながら、今後も導入を進めていきたい」と普及へ意欲をみせる。