包括業務委託がスタート 民間社員が市役所で勤務 陸前高田(別写真あり)

▲ 市民課、税務課など、市民と直に接する窓口業務のほか、庶務などの分野で民間活力を利用する

窓口対応などにあたる

 

 陸前高田市役所で1日、民間への「包括業務委託」がスタートした。各種研修を受けた民間企業の社員らが窓口などで来客対応にあたることで、よりよい住民サービスの提供を目指すほか、市は正規職員の業務の効率化と質の向上、人件費削減、嘱託および臨時職員の雇用の安定なども図る。自治体が民間に業務の一部を委託するのは、東北初の事例となる。
 同市では復興・創生期間終了後の人件費縮減を見据え、行政の核となる政策や管理部門等を除いた窓口業務などの一部を民間に委託する「行政事務の包括業務委託」を東北で初めて導入。昨年12月に委託事業者をプロポーザル方式で選定し、学生寮、社会人寮の管理、ビジネスホテル、高齢者向け住宅の運営などを手がける㈱共立メンテナンス(本社・東京都千代田区、上田卓味代表取締役社長)を委託先に決定した。
 同社が雇用した社員と市のプロパー職員は同じ庁内に勤務。本年度は一般行政事務5人を含む計62人を採用し、市民課、総務課、会計課、保健課、まちづくり推進課、市教委管理課、図書館、博物館などで事務補助等を担う。
 業務委託による人件費は、初年度で約1億1000万円の削減を見込む。受託人数は当面の間、年々増加していくものとする。
 新入社員のうち14人は公募した市民で、48人は市役所からの転籍。業務委託により、退職正職員と任期付き職員、福祉業務等法律的・財源的な制限がある職などを除く嘱託および臨時職員については、本人の希望と選考により同社への転職が可能となったことから、嘱託や臨時職員が転籍したケースも多いという。これによって最長1年の範囲で任用していた任期付き職員らの雇用の安定も図る考えだ。
 市の須賀佐重喜理事は、「持続可能な行財政運営を行っていくうえでも、民間の力を借りたい。一般行政事務の枠にも倍率4・5倍の応募をいただき、市の仕事に対する関心の高さがうかがえた。協働を進める本市としてありがたいこと。民間の接客対応などをプロパー職員にも見習ってもらい、全体にいい相乗効果が生まれることを期待している」としている。

 

62人が共立メンテナンスに入社
陸前高田

 

新年度からの市役所勤務に先立ち、社員ら一人一人に辞令を交付

 陸前高田市の包括業務委託にかかる共立メンテナンス陸前高田営業所の入社式は31日、高田町の市コミュニティホールで開かれた。実務・接遇研修や個人情報保護研修といった事前研修を受けた62人の〝新入社員〟たちが、1日からの勤務開始にあたって心構えを新たにした。
 同社PKP(パブリック・共立・パートナーシップ)事業本部の伊藤覚取締役本部長をはじめ、市の岡本雅之副市長、須賀佐重喜理事、村上幸司総務部長ら臨席のもと入社式が行われ、同社陸前高田営業所の平立身所長、岩崎利行副所長に辞令を交付。引き続き、平所長から社員一人一人に対して辞令書が手渡された。
 同社東日本事業部の宇田正彦部長は、「PKPのポリシーは『新しい公共』を担うこと」としたうえ、▽地域のことは地域で▽住民の手で、住民のために▽地元本意に▽献身の精神を醸成する▽行政になりかわってサービスを提供する──という五つの柱を挙げ、「市民の代表としてのプライドを持ち、〝チーム陸前高田〟の一員として互いに助け合っていってほしい」と社員らに呼びかけた。
 同事業所は当面、市役所仮庁舎敷地内を借りて運営。市と綿密な連携を図っていく。