新元号は「令和」 政府が閣議決定し発表

▲ 新しい元号「令和」が発表された官房長官会見に見入る買い物客ら

 政府は1日、天皇陛下の譲位と皇太子さまの新天皇即位に伴う新元号を「令和」とすることを決め、発表した。新元号は645年の「大化」から数えて248番目。日本最古の歌集「万葉集」からの出典となった。今月30日(火)で天皇陛下が退位され「平成」に幕が下り、皇太子さまが天皇に即位される5月1日(水)から、新時代「令和」が始まる。(7面に関連記事)

 

出典は万葉集 新天皇即位の5月1日から

 

 新しい元号について政府は、国民生活への影響を最小限に抑える観点から、改元1カ月前の公表を方針付けていた。元号法(昭和54年成立)に基づいて内閣で定めるとし、漢文学、国文学、日本史学、東洋史学の専門家に候補案を求めて絞り込みを図ってきたとされる。
 1日は午前9時30分から官邸で有識者による「元号に関する懇談会」、その後に衆議院議長公邸で衆参両院正副議長に複数の原案を示して意見聴取したうえ、臨時閣議で新元号として定める政令を決定。同11時40分ごろ、菅義偉内閣官房長官が首相官邸で記者会見して発表した。
 この中で菅官房長官は、墨書を掲げながら「新しい元号は令和であります」と述べた。
 続いて「令和」は「万葉集」にある梅花の歌三十二首の序文「初春の令月(れいげつ)にして、気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす」が出典となったことを説明した。
 正午ごろからは、安倍晋三首相が会見で新元号にかかる談話を発表。
 この中で首相は「悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然。こうした日本の国柄を、しっかりと次の時代へと引き継いでいく。厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい、との願いを込め、『令和』に決定した」と説明した。
 そのうえで「文化を育み、自然の美しさを愛でることができる平和な日々に心からの感謝の念を抱きながら、希望に満ちあふれた新しい時代を国民の皆さまと切り開いていく。新元号の決定にあたり、決意を新たにしている」と述べた。
 皇位継承前の新元号公表は憲政史上初。国文学が出典となったのも初めてとされ、安倍首相は談話の中で「万葉集は1200年あまり前に編さんされた日本最古の歌集であるとともに、天皇や皇族、貴族だけでなく防人(さきもり)や農民まで、幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められ、わが国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書」と語っている。
 新元号に対する国民の関心は高く、大船渡市盛町のショッピングセンターサン・リアでは午前11時すぎから、買い物客たちが1階「憩いの広場」に設置されたテレビの前に集まり、官房長官会見が始まるころには50人ほどの姿があった。新元号が示されると、ほとんどの人が「れいわ」と確かめるように声に出していた。