毎週木曜日 気軽に相談を 広田診療所ががんの相談窓口開設 陸前高田

▲ がん看護ケアの〝よろず〟相談に乗る藤井さん㊧。岩井所長㊨もアドバイザーとして支える

 陸前高田市国民健康保険広田診療所(岩井直路所長)はこのほど、診療所内にがんに関する相談窓口「ヒロピス(広田ホスピス)」を開設した。毎週木曜日、がん看護ケアに精通する看護師が相談支援にあたり、岩井所長や拠点病院である県立大船渡病院とも連携しながら、症状や治療、心理的不安など、患者とその家族の困りごとについて耳を傾ける。相談は無料で、町外の人も利用可能。同診療所は「予約制にはなっているが、ちょっと立ち話をするような感覚で活用してもらい、がんについて聞いてみたいことや心配なことなどを遠慮なく話してもらえれば」と呼びかける。

 

患者や家族の悩みに対応

 

 相談に応じるのは、昨年10月から同診療所に勤める看護師の藤井縁さん(50)。藤井さんは国立がん研究センター中央病院、静岡がんセンター、宮城県立がんセンターに通算25年勤務した経験を持ち、看護師長も務めたことがあるベテラン。がんの看護・ケアに関すること全般の相談に応じる。
 窓口開設時間は、同診療所の休診時間帯である毎週木曜日の午後2時〜4時。予約制とし、1人(組)あたり30分ほどとする。対象は、がん患者とその家族、看護ケア関係者など。岩井所長(63)がアドバイザーを務めるほか、必要に応じて大船渡病院の患者総合支援センター「クローバー」(気仙がん相談支援センター)も紹介する。個人情報に配慮したうえ、相談者の秘密は厳守する。
 2人に1人はがんになるといわれる時代。藤井さんは「がんというと、まだ死に直結するイメージが持たれている。患者さん自身は身体的にも精神的にもデリケートになり、ご家族やケアする人も不安。でも、悩んでいたことにも実は対処方法があったりする。誰かに話すだけで、苦しさを手放せることもある」といい、どんなことでも話してほしいとする。
 コミュニティーが密な地域では、周囲に病気を隠したいという気持ちや、「こんなことを相談していいんだろうか」という遠慮などが先立つのではないかという見方もあるが、藤井さんは第三者に相談する重要性を強調。病気になると患者当人も家族も視野が狭くなってしまいがちなうえ、「世の中には正しくない知識もはんらんしている。あふれる情報を整理し、その人にとって必要なものを見極めていけたら」という。
 また、患者の中には医師に遠慮して治療などについて詳しく尋ねられなかったり、セカンドオピニオンを求めるのをためらったりする人も多い。どの範囲の身内まで「告知」するかや、家族らがどう協力していけばいいか、患者にどう接すればいいかといったコミュニケーションについても相談できる。
 岩井所長は「せっかく、能力と経験を持つ貴重な人材が来てくれたので、多くの方に利用してほしい。がんのことを気軽に語り合えるような〝心のバリアフリー〟がこれからはますます重要。やがては患者同士で情報交換したり、悩みを分かち合える〝カフェ〟のような仕組みもつくっていければ」としている。
 ヒロピスの予約や問い合わせは同診療所(℡56・2515)まで。