「地域の宝」さらに減少 深刻な少子化表す形に 気仙

 新年度となり、気仙各地の小中学校では平成最後の新学期を迎えた。本年度当初における3市町全体の児童生徒数は、小学生が2326人(前年度比50人減)、中学生が1320人(同81人減)で合計3646人(同131人減)。小中学校いずれも前年度を下回り、合計を7年前の平成24年度と比較すると〝地域の宝〟の減少率は25%と、深刻な少子化の進行を表している。

 

児童生徒数3646人

24年度比で25%減

 

 平成が終わりを告げ、来月から令和の時代を迎える本年度。気仙の小中学校数は、大船渡市が11小学校、8中学校、陸前高田市が8小学校、2中学校、住田町は小中ともに2校となっている。
 各市町の教育委員会によると、市町別における31年度の児童生徒数は、大船渡市が小学生1457人(前年度比28人減)、中学生803人(同23人減)の合計2260人(同51人減)。陸前高田市は小学生697人(同12人減)、中学生416人(同40人減)の合計1113人(同52人減)。住田町は小学生172人(同10人減)、中学生101人(同18人減)の合計273人(同28人減)。
 24年度からの推移をみると、同年度は3市町の小中学校合わせて4897人だったが、25年度以降は130人〜220人台の減少が続き、本年度は3646人。本年度と24年度を比較すると、1251人(25・5%)減少している。
 大船渡市は小学生331人(18・5%)減、中学生317人(28・3%)減で、合計では648人(22・3%)の減。陸前高田市は小学生305人(30・4%)減、中学生175人(29・6%)減となり、計480人(30・1%)減った。住田町は小学生93人(35・1%)減、中学生30人(22・9%)減で、合計では123人(31・0%)の減。
 本年度の全校児童数をみると、最多は猪川(大船渡市)の306人で、最少は矢作(陸前高田市)の22人。
 学年あたり2クラス以上あるのは、大船渡市の猪川(全学年)、立根(2、5年生)、大船渡北(6年生)と、陸前高田市の高田(4年生)、米崎(同)。
 一方、複式学級編成は、大船渡市が吉浜の4・5年(16人)、陸前高田市は矢作の1・2年(5人)と3・4年(6人)、住田町は有住の2・3年(16人)。陸前高田では、ほかにも複式学級の対象校があるが、通常の教員数で1学年1学級を維持している。
 新小学1年生は、大船渡市が239人(同5人増)、陸前高田市が112人(同12人増)、住田町が19人(同5人減)で、合計は370人(同12人増)。学校別でみると、最多は猪川の49人で、最少は矢作の1人。
 10人を割った学校は矢作のほか、吉浜(大船渡市)9人、横田(陸前高田市)9人、世田米(住田町)4人の4校となった。
 新中学1年生は、大船渡市が262人(同6人増)、陸前高田市が131人(同4人減)、住田が22人(同24人減)で、合計は415人(同22人減)。
 最多は第一(大船渡市)の117人、最少は有住(住田町)の4人。10人を割った学校は有住、日頃市(大船渡市)5人、越喜来(同)8人の3校だった。
 気仙の小中学校をとりまく動きをみると、大船渡市では中学校において、第一と日頃市・越喜来・吉浜が来年度、大船渡と末崎、赤崎と綾里が2021年度に統合することが決定。地域、保護者、学校関係者らによる準備が進んでいる。
 陸前高田市では、23年度に市内小中学校適正規模化計画を「小学校は1町1小学校、中学校は市内東西の2校体制」に見直し、30年度に計画を完遂。一方で、小学校では全学年が1ケタ台、または10人前後にとどまる学校もみられる。
 住田町では少子化が進む中、今後における小中学校のあり方を住民と議論し、新たな教育の方向性を検討していく必要性が浮き彫りとなった。
 地域の宝である子どもたちの教育環境を維持、向上させていくことも、少子化対策の重要な視点といえる。学校統合のみならず、子どもたちと地域の実情に応じた教育体制づくりが求められる。