末崎に桜並木つくろう Uターンの熊谷さんが市に要望へ署名活動 大船渡

▲ 署名を手に協力を呼びかける熊谷さん

 大船渡市末崎町の飲食店経営・熊谷武さん(39)が、同町の東日本大震災の被災跡地にサクラを植えて地域活性化につなげようと、賛同者を集う署名活動を行っている。震災を機に同町にUターンした熊谷さん。まずは生まれ育った大田団地の道路沿いに桜並木を形成しようと協力を呼びかけており、「末崎をきれいなサクラで彩り、被災者らの心の復興につなげたい」と意気込んでいる。

 

被災跡地に植樹目指す

 

 署名活動は今年1月から始め、現時点で100人近くの署名を集めた。500人を目標に夏ごろまで続け、植樹許可の要望書とともに市に提出することとしている。
 植樹地は、大田団地の東西を横断し、防潮堤に次ぐ「2線堤」として津波防御の役目も果たす新たな市道沿い。市が買い取り、産業用地として造成された道路脇は、民間会社による大規模園芸施設が整備されるなど活用されており、「土手部分にサクラを植え、震災を経て生まれ変わった末崎の観光名所の一つとしよう」と提案することとした。
 苗木は、関東圏の団体から支援を受け確保する計画。植樹が実現すれば、陸前高田市内で津波到達点にサクラを植え、震災の教訓伝承に取り組む認定NPO法人・桜ライン311(岡本翔馬代表)からノウハウを得られるよう協力を依頼する。
 熊谷さんは一関高専を卒業後、埼玉県内の化学系工場で勤務。転勤先の福島県広野町で震災に遭い、福島原発事故に伴い一時避難を経験した。
 古里も津波で甚大な被害を受け、大田団地にあった自宅は1階天井まで浸水した。思い出の詰まった地域が変わり果て、「復興のため故郷で働こう」と決意。平成28年冬にUターンした。
 得意だった料理の腕を生かして、昨年12月、JR大船渡線BRT細浦駅前に「お食事処からん」をオープン。店を切り盛りしながら「帰ってきた自分にできることは何か」と、被災者の心の復興や地域活性化策を模索してきた。
 2年後には末崎中が大船渡中と統合することから、「末崎中生に作業に参加してもらうため、何とか植樹を実現させたい」と話す。「将来的には町内外にサクラと一緒にツバキも植え、末崎、そして大船渡をアピールできる名所ともなれば。住民が協力し合って管理すればコミュニティー形成にもつながる」と思い描く。
 署名は「からん」で誰でもできる。地元の住民組織の力も不可欠なことから、自治会の協力も随時受け付ける。営業時間は午前11時~午後2時、午後5時~8時。月曜定休。
 問い合わせは熊谷さん(℡080・2210・4553)へ。