「山車に地区名」復活へ 8月7日のけんか七夕 祭組の誇りかけ運行 陸前高田

▲ 山車の正面に「地区名」をつける伝統を復活へ(写真は平成22年)

 陸前高田市気仙町今泉地区で8月7日に行われる伝統行事「けんか七夕」は今年、山車に祭組の地区名を掲げる伝統を復活させる。気仙町けんか七夕祭り保存連合会(佐々木冨寿夫会長)は、昔ながらの地区名を戻すことで、かつてのコミュニティー力も少しずつ再生させ、まつりにかかわる人を増やしたい考えだ。
 地区名の復活は、13日に今泉団地そばにある「七夕倉庫」で開かれた保存連合会総会で決定。今年は「八日町組」と「鉄砲町組」の二つの名前を山車に取り付けることにした。

 

 東日本大震災前、同町ではけんか七夕の際に「荒町組」「上八日町組」「下八日町組」「鉄砲町組」の4祭組がそれぞれ山車を1台ずつ運行し、地区の誇りをかけて飾り付けを競い合うとともに、山車と山車をぶつけ合う〝けんか〟を繰り広げてきた。
 平成23年の大津波で今泉全域が壊滅的な被害を受け、下八日町組の山車だけが流失せず残ったことから、同年はその山車1台でまつりの伝統を存続。全国から多くの支援を受けてもう1台の山車を制作し、翌年以降は4地区民が協力し合って2台の飾り付けや運行を行ってきた。このため山車2台にはもとの地区名ではなく、全体を包括する「今泉組」「気仙組」の名を掲げていた。
 被災市街地復興土地区画整理事業による工事の関係で、毎年のように祭り開催場所が変更されてきたけんか七夕だが、かさ上げ地の整備が進み、昨年は地区の〝ホーム〟たる中心部へ戻って来ることができた。
 一方で、町外に自宅を再建した住民も多く、まつりの事前準備にかかわる人員の減少は深刻。「『今泉組』『気仙組』だと、どこに〝お花(お祝い金)〟を出したらいいか分からない」「もとの地区でないから参加しづらい」といった声があったほか、連合会内部からも「地区のプライドをもって互いに競い合う以前の形に戻したい」という意見が出ていたという。
 山車は現状2台のみであることから、今回は現在のまつりの中心的役割を担う「鉄砲町組」と上・下を統合した「八日町組」の名称を復活させる。連合会は山車のどこかに、荒町組や八日町の「上」「下」を表現することで、どの地区の人も参加しやすくしたいとする。
 連合会の永田園佳さん(28)は「一番の願いは、参加者が増えること。5月8日以降、毎晩『七夕倉庫』に集まって準備を進めるので、もとの今泉の人はもちろん、町外の方たちにも気軽に参加してほしい」と呼びかけている。