地域包括ケアの構築進む 〝地区版〟の助け合い協が全11カ所で立ち上げ完了 大船渡

 高齢者が住み慣れた地域で生活を送れるようにするための地域包括ケアシステムなどの構築に向け、大船渡市は地域助け合い協議会の取り組みを進めている。このうち、地区公民館単位で設置する〝地区版〟の助け合い協議会は、このほど設立総会が開かれた越喜来地区をもって計画した11地区すべてで立ち上げを完了。今後は、地区ごとに地域の実情を踏まえた各種支え合い活動が展開される。市は市版、地域版の各助け合い協と連携しながら、活動のさらなる充実を図っていく。

 

実情踏まえ充実図る

 

 市は顕著な高齢化が進行する中、団塊の世代が75歳以上となる2025年度をめどとした地域包括ケアシステムの構築に向け、その基盤となる地域での支え合い活動の創出を図ろうと、平成27年度に市版(第1層)の地域助け合い協議会を設置。地域での支え合い活動創出、市全体で取り組むべき課題などを協議してきた。
 また、市内11地区に地区版(第2層)の助け合い協を設けるための取り組みも推進。各地の事例などを学ぶ、地域助け合い創出研究会の開催などを進めてきた。
 地区版は、同年12月の蛸ノ浦を皮切りに、28年度には吉浜、盛、赤崎、日頃市、大船渡に設置。30年度には末崎、綾里、猪川、立根に設けられた(別図参照)。
 各地区の助け合い協では、高齢者を中心とした地域住民が交流を図るサロンの運営、高齢者(地域)の生活支援や地域資源を探る調査、介護保険などの各種勉強会を実施。希望する高齢者を対象とした「テレコール・システム(緊急時の連絡網)」(盛)、市結婚相談・支援センターや県福祉人材センターと連携した「地域密着型Uターン応援事業」(赤崎)といった独自の取り組みもみられる。
 設置11地区目となった越喜来ではこれまで、東日本大震災からの復旧・復興に関する事業を優先。一方で、助け合い協の設立に向けて28年度から勉強会などを開催し、今月12日に三陸公民館で行われた総会で、正式に設立を決めた。
 越喜来の助け合い協は、地区公民館関係者や各自治会の会長、学識経験者、民生委員、各団体の代表らで構成。設立総会には委任状を含む24人が出席し、役員をはじめ、設置要綱案、本年度の事業計画案や収支予算案を承認した。
 越喜来では、支え合い活動の創出に向けた取り組み、地域包括ケアに関することを地区の関係団体と連携し、取り組むべき課題を協議するといった事業を進める。協議会の中心的な役割を担う生活支援コーディネーターは、1人を配置する。
 具体的な事業は、来月開催予定の役員会で協議。本年度は2カ月に1度のペースで、定例会や地域の担い手育成研修などの開催を予定する。
 まずは地域課題の実態調査を計画。調査結果を受け、地域内で対応できるもの、市や市社会福祉協議会など関係機関のサポートが必要なものの抽出をし、可能な活動から取り組みたい考えだ。
 助け合い協の会長を務める鈴木健悦地区公民館長(69)は「問題は、生活に不便をきたしている方々をいかに地域でサポートしていくかであり、人材育成も必要になる。他地区の取り組みも聞き、取り入れながら進め、生まれ育ったところで安心して歳をとることができる地域づくりを目指したい」と力を込める。
 熊澤正彦生活福祉部長は「全地区で助け合い協が設立され、今後は各地区公民館とも連携を取りながら進めていきたいと考えている。地区それぞれの状況に応じた取り組みができるようにしていきたい」と話す。
 支え合い活動が進む中、各地区の助け合い協からは「支え手側の人材が圧倒的に足りない」「活動のために気軽に使える場所がない」「サロンを企画、開催しても参加者が少ない」「買い物などのための移動手段が少ない」といった課題も出ている。
 こうした課題の解決や支え合い活動の充実には、助け合い協の委員のみならず、住民一人一人の参画が必要となる。市や関係機関には、こうした機運の醸成を市内全域で図っていくとともに、各地区が持続した活動を展開できるサポートのあり方が求められる。