伝統つなぎ清流に彩り こいのぼりの列、今年も 住田(別写真あり)

▲ 5月6日まで続くこいのぼり掲揚

 住田町世田米の新町親睦会(細谷勝男会長)によるこいのぼりの掲揚作業は21日、気仙川に架かる清水橋沿いで行われた。橋周辺のサクラが見ごろを迎え、スッキリとした青空が広がる中、愛知県内の企業や地域住民から贈られた色とりどりのこいのぼりが並び、今年も山里に華やかさをもたらした。行楽客や帰省の家族らを迎える掲揚は、5月6日(月)までを予定している。

 

世田米・清水橋で5月6日まで

 

 親睦会は、気仙川左岸側の清水橋たもとで暮らす約20世帯で構成。掲揚は子どもたちの健やかな成長を願って平成11年から毎年実施し、東日本大震災以降は早期復興への思いも込めている。
 多くの人々を魅了するが、掲揚するこいのぼりは2週間以上にわたり春風に揺られて泳ぎ続け、傷みが早い。1、2年で使えなくなり、こいのぼりの確保が課題となっていた。
 地元だけでは限界があった中、震災を機に町と交流を深めるトヨタ自動車㈱をはじめとした愛知県内の企業や団体、地域住民が25、26年に合計約1400匹を贈呈。今年もこれらを生かし、伝統をつないだ。
 掲揚作業には、早朝に行われた気仙川の一斉清掃を終えた住民ら約20人が参加。長さ約90㍍のワイヤーに、色とりどりのまごいやひごいを1匹ずつ、約70匹を取り付けた。
 声をかけ合い、絡まることがないよう注意を払いながら、コンクリート柱に引っかけたワイヤーを張って掲揚。見守った子どもたちは歓声を上げて喜んだほか、作業を終えた住民は揚げた満足感を味わいながら、ゆっくりと泳ぐ姿に目を細めていた。
 細谷会長(80)も、川下からの風を吸い込んで泳ぐ姿を見上げ、安堵の笑みを浮かべた。「なかなか人が集まらなくて苦労も多いが、若い人たちの頑張りによって今年も掲揚できた。今後も続けていくことができれば」と話していた。
 今年は川沿いに植えられたサクラの見ごろと掲揚時期が重なり、清水橋から離れて眺めても彩り豊かな景色を楽しむことができる。近くに構える浄福寺では、モミの木を生かした親鸞聖人像が見守り、こいのぼりとの共演を収めようとカメラを構える姿も多い。
 今月下旬から5月上旬の大型連休中は、世田米では3年に1度の式年大祭や各種観光イベント、スポーツ大会が控える。清水橋周辺は盛岡をはじめ県内陸部から気仙両市に向かう際の玄関口となっており、観光客や出身者を出迎える役割も担う。