不満や要望に耳傾け 議会報告会がスタート 陸前高田市内11地区で開催

▲ 今泉地区の「語る会」には地区住民ら15人が参加

 陸前高田市議会(伊藤明彦議長)による本年度第1回議会報告会(議会と語る会)は22日にスタートした。市内全11地区で開催され、議員らが本年度の予算などについて説明したうえで、地域課題などを聞き取る。初日は各会場で、車を持たない高齢者らの移動手段の確保や、議会報告会のあり方などについて住民から意見・要望が相次いだ。
 同日は矢作町生出、気仙町今泉、小友町の3地区で開催。このうち今泉災害公営住宅の集会所で行われた語る会には住民ら15人が参加した。
 土地区画整理事業によって被災者の住宅再建や新しいまちづくりが進められる今泉地区では、同事業の遅れなどを受け、住民らが「今泉の復興は後回しにされている」「再建できた人が少なく、自治会をつくることもままならない」などと憤りをあらわに。
 また、「高台に郵便ポストがなく、手紙を出すのにタクシーを使っているような状況」「以前からポスト設置要望を伝えているが、状況改善の気配はみられず、議会からの説明もない」としたうえで、「報告会で意見や要望を出しても、結局それがどんなふうに進んでいるかまったくわからず、同じ話を毎回繰り返し伝えねばならない。こちらからボールを投げっぱなしではなく、しっかり返してほしい」と、議員と住民とのコミュニケーションに関する手厳しい意見もあった。
 さらに、住宅再建後の新しい住環境の中で、運転免許を持たない人の移動の不便さが大きな課題となっていること、地区に帰還した住民が少ない中でのコミュニティー形成と地区運営の難しさなどに関して現状を訴える声が多かった。移動手段の確保については、コミュニティバス運行の要望なども寄せられた。
 出席議員は「今泉地区の復興が大きな課題であるという認識は強く持っている」とし、コミュニティバスについても、どういった運行形態が望ましいかといったことを丁寧に聞き取った。
 一方、生出地区でも同様に、「議会報告会開催に関する周知が不十分」といった注文や、市が実施している「ふるさとタクシー助成事業」をはじめとした移動手段に関しての提案・要望が相次いだ。
 参加者は、住田町の大股地区において、福祉車両を「買い物バス」としてデイサービスの送迎と重ならない時間帯に運行している取り組みを例に挙げ、「陸前高田でも参考にしては」という声があった。
 これに対し議員は「いい取り組みだと思う。現状、こうした仕組みを住田町と共有するような機会は設けていないが、交通システムについては今後も考えていかないといけない課題」とし、公共交通に関して国などへ要望をしていることも紹介した。
 今後の報告会の日程は次の通り。
 長部コミセンでの開始時間は午後6時30分から、それ以外の会場は午後7時からおおむね2時間ほどの実施となる。
 ▽24日(水)=矢作コミセン、横田コミセン、高田コミセン
 ▽5月8日(水)=下矢作コミセン、長部コミセン、米崎コミセン