第三者委員会が初会議 市職員の逮捕事件受け 半年程度をかけ答申へ 大船渡(別写真あり)

▲ 市職員の逮捕事件を受け、大船渡市が設置した第三者委員会が初会議

 「大船渡市簡易水道事業に関する市職員の逮捕事件にかかる第三者委員会」は23日、市役所で第1回会議が開かれた。1月に発生した市職員の逮捕事件を受け、外部の視点から事件の検証などを行う市長の諮問機関となり、市は法律や会計などの専門的な知識、経験を持つ4人を委嘱。初回会議では戸田公明市長から同委員会側に諮問書が手渡され、調査審議に入った。同委員会では半年程度をかけて調査等を進め、結果がまとまったのちに市長に答申する見通しとしている。

 

外部の視点で検証着手

 

 この事件は、市が発注した簡易水道事業の業務委託で便宜を図った見返りに現金30万円を受け取ったとして、当時の市都市整備部簡易水道事業所技監(現在は市総務部付技監)が収賄の罪で逮捕、起訴されたもの。3月に盛岡地方裁判所で開かれた初公判では、被告が起訴事実を認めており、5月8日(水)には第2回公判が予定されている。
 市は事件を受け、庁内における再発防止に向けて当時の部課長等職員47人を対象に行った事情聴取の結果をもとに、人事体制や随意契約といった業務システムなどを見直す業務改善の取り組みを展開。一方で、市議会などからは諸問題を検討する外部機関の早期設置が求められていた。
 市としても、「内部調査だけでは調査の客観性や信憑性などに関する疑念を払しょくできず、市民の信頼を回復することは困難」と外部機関の設置を検討。先月の市議会3月定例会に第三者委員会条例案を提出し、議決を受けて第三者委員会を設置した。
 同委員会は、法律や会計、リスクマネジメント等の知識経験を有する委員4人で構成。市長の諮問に基づき、事件の発生原因の究明や再発防止策等について調査審議し、その結果を市長に答申する役割を担う。市による第三者委員会の設置は、今回が初めてとなる。
 委員には、菊池優太氏(盛岡さくら法律事務所弁護士、盛岡市)窪幸治氏(岩手県立大学総合政策学部教授、滝沢市)熊澤久美氏(元警察官、北上市)佐藤公哉氏(公認会計士・税理士佐藤公哉事務所、陸前高田市)の4人を委嘱した。
 初回会議には、委員全員と戸田市長、髙泰久副市長、志田努統括監、関係部課の部課長らが出席。冒頭、戸田市長がそれぞれの委員に委嘱状を交付し、「第三者の目で、当局が行ってきた対応項目がいいのかを見ていただき、寄せられた感想、意見などを今後に生かしていくことが大事。委員の皆さまの要望に対応し、それを報告書の形でまとめていただきたい」と述べた。
 委員らのあいさつに続き、委員長互選を行って窪氏を選出。窪委員長に対し、戸田市長から「事件の発生原因の究明その他事件の実態把握および再発防止策について」を諮問事項とした諮問書が手渡された。
 その後の調査審議は、非公開で実施。会議終了後、窪委員長が記者団の取材に応じた。
 窪委員長によると、この日は市側が委員らに事件の経緯をはじめ、発生後に市が行った部課長等に対するヒアリングの内容、業務改善策などを説明。それを受け、今後の会議の進め方、方向性などを話し合ったという。
 窪委員長は今後の進め方について、「まだ見通しはついていないが、どういう環境のもとでこういう事件が起きてしまったのか、職員らへのヒアリングを通じて原因を究明していきたい。そのうえで、もちろん原因が分かればふさわしい対策について、知恵を絞りながら提言していきたいと考えている」と述べ、「半年程度で報告書をまとめたい」との考えを示した。
 市の説明に対しては、「事件自体は、(市の)体制が乏しくなったところで起きてしまったと考えており、変えていくことはできると思う。それを市全体に広げていくための提言ができれば。しっかり話を聞き、原因が何かを突き止めていきたい」と話していた。
 次回会議は6月に開催の予定。その後は月に1、2回のペースで開催し、調査結果等がまとまり次第、市長に報告書を提出するとしている。