ローン利用で金利優遇 市と岩銀が提携し空き家対策を推進 大船渡

▲ 大船渡市と岩手銀行の提携による空き家対策の概要図

 大船渡市は25日付で、㈱岩手銀行(田口幸雄頭取)と空き家対策および移住・定住にかかる取り組みにおける提携を結んだ。提携により、市の空き家バンクを利用して空き家の賃貸借契約を締結し、その住まいをリフォームする場合に空き家活用ローンを利用すると、金利が優遇されるもので、市は空き家対策の充実、移住・定住の促進に役立てていきたいとしている。
 同市は市内の空き家を利活用して良好な生活環境を保全し、移住・定住の促進を図るべく、昨年3月下旬に空き家バンク事業をスタート。平成30年度から本格的に事業を進めている。
 空き家バンクには、売買や賃貸を希望する空き家(一戸建てに限る)の所有者と、空き家の購入、賃貸借を望む利用者が登録。今年3月末現在の登録状況は、空き家(所有者)5件、利用は6件となっている。
 市は必要に応じ、登録した利用者や所有者に必要な情報を提供。交渉は利用者と所有者(または宅地建物取引業者)の間で進めてもらい、話がまとまれば売買や賃貸借契約を締結する。空き家バンクを利用して売買や賃貸借契約を結んだ所有者と、市外から転入する利用者には、奨励金5万円を交付する「空き家バンク活用奨励金」制度も行っている。
 一方、岩手銀行も空き家対策として、空き家を賃貸するための改築・改修、空き家の解体やその後の造成、防災・防犯対策などに利用できる「いわぎん空き家活用・解体ローン」を設け、取り組みを展開。この中では、市町村との提携で金利を0・5%優遇する制度も盛り込み、これまで花巻や遠野、住田など県内13市町村が提携済みとなっている。
 大船渡市は14自治体目となり、25日に書面で提携に関する覚え書きを締結。今後は市の空き家バンクを利用して賃貸借契約を結び、空き家活用奨励金の交付を受けた人が空き家をリフォームするために空き家活用・解体ローンを利用した場合、金利が0・5%引き下げられる。ローンの利用には申し込み後、同行の審査が必要となる。
 市の空き家バンク制度は、事業開始から1年余りが経過しているが、現時点で契約に至ったケースは出ていない。
 市は同行との提携によって互いに空き家対策の効果を高め、移住・定住対策も視野に入れた取り組みの推進、地域活性化を図りたいとしている。