「入洞1万人」復活へ期待 高規格道開通で好機 上有住・滝観洞で安全祈願祭 住田(別写真あり)

▲ 今年1年の無事故などに願いを込めた安全祈願祭

 住田町上有住にある滝観洞の「安全祈願祭」は27日、洞入り口前に架かる風恋橋付近で開かれた。平成31年度の本格的な観光シーズン到来を控え、関係者らは安全な営業のもとで多くの観光客が訪れるよう願いを込めた。今年は、釜石花巻道路が全線開通したことで、交通アクセスが向上。広域的な宣伝活動などに力を入れながら、長らく遠ざかっている「年間入洞者1万人」達成を目指す。

 

 祈願祭には、滝観洞観光センターを運営する住田観光開発㈱の松田栄社長をはじめ関係者約20人が出席。神事が執り行われ、出席者らが無事故と多くの来客を祈願した。
 風恋橋付近の気温は5度と肌寒かったが、終了後には観光客が続々と訪れ、鍾乳洞を巡る冒険を満喫。洞口から約880㍍地点には洞内滝では日本一を誇る「天の岩戸の滝」があり、青色の照明で幻想的に浮かび上がる絶景を楽しんでいた。
 同社によると、30年度の入洞者は9229人。かき入れ時のお盆期間中に好天が続き、冬場は雪が少なく来訪しやすい状況が続いたことから、前年よりも670人増加した。
 滝観洞周辺は長らく交通の難所とされてきたが、20年に釜石花巻道路の「滝観洞インターチェンジ(IC)」が供用開始。この効果により、20〜22年は年間入洞者が1万人を大きく超えた。
 東日本大震災以降は4ケタ台が続くが、今年3月に釜石花巻道路が全線開通し、三陸沿岸道路とも接続。内陸部はもちろん、気仙両市からのアクセスも飛躍的に向上した。全線開通後は、運転休憩で立ち寄る姿も出始め、再び来訪増の好機を迎えている。
 さらに、6月から開催される三陸防災プロジェクト2019、ラグビーワールドカップ釜石開催を控え、外国人観光客も見込む。洞入り口前の看板を一新し、外国語表記を充実させた。
 滝観洞そばの上有住駅には、4〜9月の週末を中心にSL銀河が停車。これまで風恋橋付近からは、のり面の木々が視界をさえぎっていたが、春先に伐採が行われた。滝観洞前での食事やイベントを楽しみながら、蒸気機関車が走り抜ける光景も目にできる。
 松田社長は「今年のチャンスを逃さない手はない。夏場に向けて宣伝活動に力を入れながら、1万人到達を目指す」と力を込める。
 5月3日(金)から3日間は、ゴールデンウイークに合わせたイベント「滝に鯉(恋)まつり」を開催。入洞受付は午前8時30分〜午後4時30分。5日(日)は、小学生以下が入洞無料となる。 
 ジンギスカン焼肉コーナーや名物の滝流しそば、川魚の塩焼き、昨年からレストランで提供している「洞くつカレー」など、食事でも来訪者を歓迎。子ども連れ限定の渓流釣りは午前10時からで、釣りざおなどの道具類は貸し出す。
 5日は午前10時からと午後1時から、人気似顔絵師の三浦のろ子さんによる似顔絵コーナーが設けられ、各先着10組(1人500円)に対応。問い合わせは、同センター(℡48・2756)へ。