五葉山で待望の山開き 安全祈願祭も挙行 愛好者が頂上目指す(別写真あり)

▲ 山頂に向けて歩みを進める登山者

 大船渡市、住田町、釜石市にまたがる霊峰・五葉山(1351㍍)の山開き安全祈願祭は29日、大船渡、釜石両市境の赤坂峠登山口で行われた。各地から訪れた登山愛好者がこの1年の無事故を祈願。晴れ渡る青空の下で、爽やかな汗を流しながら頂上を目指した。

 

登山シーズン到来

 

 安全祈願祭は、大船渡、住田、釜石の3市町で構成する五葉山自然保護協議会(会長・戸田公明大船渡市長)が主催。毎年、ゴールデンウイークに重なる4月29日の『昭和の日』に合わせて実施している。
 今年は自然保護組織、行政、警察などの関係者と登山愛好者ら合わせて約150人が出席。神事が執り行われ、出席者全員で登山の安全を願った。
 神事のあと、戸田市長が五葉山の魅力に触れながら「素晴らしい天候での登山を楽しんでほしい。今後も、この山を未来の世代につなぐべく、さまざまな活動を行っていきたい」とあいさつ。集まった登山愛好者らは、登山にあたっての注意事項を確認したあと、次々と山道に足を踏み入れた。
 この日は天気に恵まれ、気温も上昇。登山者らは、眼下に広がる雄大な風景を眺めながら山道を登り、8合目からは残雪を踏みしめて頂上を目指した。
 9合目にある避難小屋「石楠花(しゃくなげ)荘」は昨年12月に改修が完了しており、登山者らが真新しい小屋で一休みして疲れた体を癒やしていた。
 北上山系に属する五葉山は、視界の良い日に山頂から山田湾や金華山、早池峰山などを展望できる。ツツジやシャクナゲの群落、ミネザクラをはじめ、無雪期には数々の美しい花が咲き誇るほか、ブナ、ミズナラなどの広葉樹やヒノキ、コメツガなどの針葉樹の原生林もあり、頂上付近からはリアス式海岸の景色を楽しむことができる。
 気仙沼市から訪れた会社員・後藤勇一さん(49)は、「景色もいいので、楽しくのんびり登ることができた。新しい石楠花荘には初めて入りましたが、きれいで過ごしやすかったです」と充実した表情を浮かべていた。