天皇陛下きょう退位 「平成」幕を閉じる 皇太子さまあす即位 新時代「令和」スタートへ
平成31年4月30日付 1面

天皇陛下は、きょう30日に退位される。昭和64年(1989)1月7日に昭和天皇が崩御されたのに伴い皇位を継承、即位され、在位期間は30年3カ月余に及んだ。同年1月8日の改元後、バブル経済の崩壊やインターネットをはじめとする情報通信技術の急速な普及、阪神・淡路と東日本の二つの大震災発生など、悲喜こもごもの出来事があった「平成」は、陛下の退位とともに幕を閉じる。1日に皇太子さまが即位され、新時代「令和」が始まる。
在位30年3カ月余
天皇陛下は昭和8年にお生まれになられ、現在85歳。昭和天皇の崩御に伴い、55歳で即位された。
平成23年3月に発生した東日本大震災をはじめ、全国の大規模災害被災地にも足を運ばれて被災者を励まされた。25年7月には、皇后さまとともに甚大な被害を受けた気仙をご訪問され、仮設住宅入居者らと直接触れ合われるなど、国民に寄り添いながら歩まれてきた。
28年8月、国民に向けた「お言葉」を発表。「次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」などと語られていた。
この後、同年10月から政府の有識者会議が譲位などについての検討を始め、翌29年6月には国会で「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が成立。政府は皇室会議などの協議も受け、同年12月の閣議で特例法施行日を31年4月30日とする政令を決定。江戸後期の光格天皇以来約200年ぶりとなる譲位の日取りが決まった。
天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位に伴う新元号については、国民生活への影響を最小限に抑える観点から改元1カ月前の公表を方針付け、今月1日、日本最古の歌集「万葉集」を出典とする「令和」と発表。元号は645年の「大化」から数えて248番目。皇位継承前の新元号公表は憲政史上初となった。
天皇陛下の退位を広く国民に明らかにするとともに、陛下が退位前に最後に国民の代表に会われる儀式「退位礼正殿の儀」は、30日午後5時ごろから宮中で行われる。
元号は1日午前0時から令和となり、皇太子さまの即位に伴う「剣璽(けんじ)等承継の儀」は午前10時30分ごろ、即位後初めて国民の代表に会われる「即位後朝見の儀」は同11時10分ごろから行われる。
退位後、天皇陛下は「上皇(じょうこう)」、皇后さまは「上皇后(じょうこうごう)」、皇位継承順位1位の秋篠宮さまが「皇嗣(こうし)」となられる。