皇太子さま 新天皇に即位 新時代「令和」幕開け

▲ 東日本大震災の被災者を励まされるため大船渡市をご訪問された皇太子夫妻時代の天皇陛下と皇后さま(平成23年8月)

 皇太子さまはきょう1日、天皇に即位され、新時代「令和」が幕を開けた。30年3カ月余りに及んだ平成時代、わが国は戦禍に巻き込まれることなく、グローバル化の進展によるスポーツや科学といった分野での躍進、インターネットに代表される情報通信技術の急速な普及・発展があった。一方で、東日本大震災をはじめとする大規模災害が相次ぎ、少子高齢化の課題も浮き彫りになるなどした。令和のスタートにあたり、気仙の人々は「穏やかな時代に」と願いを込めている。(3、7面に関連記事)

 

きょう午前、剣璽等承継の儀など

 

 「次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」──。
 上皇陛下が天皇在位中の平成28年8月に、国民向けのビデオメッセージとして発表された「おことば」には、退位の意向がにじみ出ていた。この後、29年6月、皇室典範特例法が成立。江戸後期の光格天皇以来202年ぶり、憲政史上では初めてとなる退位が、一代に限って進められることとなった。
 新天皇陛下は、上皇上皇后両陛下の第一皇子として昭和35年2月23日にお生まれになられた。きょう1日、59歳で第126代天皇に即位され、皇位継承に伴う儀式に臨まれる。
 午前10時30分からは、歴代天皇に伝わるとされる「三種の神器」のうち、剣と璽(じ=勾玉)などを受け継ぐ「剣璽等承継の儀」、同11時10分からは即位後で初めて三権の長ら国民の代表に会われ、お言葉を述べられる「即位後朝見の儀」がある。
 陛下は、皇太子時代の平成23年8月5日、東日本大震災で被災した人々を励まされるため、ご夫妻で自衛隊ヘリコプターに搭乗されて本県沿岸の様子をご覧になり、大船渡市を訪問されている。
 当日は市役所で市内の被災状況について説明を受けられたあと、甚大な被害を受けた大船渡町の市街地の状況をご覧になり、海へ向かって黙とうをささげられた。
 同町の高台に整備された地ノ森応急仮設住宅では、子どもからお年寄りまでさまざまな世代と目線を合わせながら優しく声をかけられた。一人一人に寄り添うように接するお姿は、不安な避難生活を送る住民たちを勇気づけ、その後の個々の暮らしの再建やまちの復旧・復興の支えとなってきた。
 30年3カ月余続いた平成からバトンを受け、幕を開けた令和。
 未曾有の被災から立ち上がり、新時代への希望も胸にしながら歩む気仙の住民からは、「次世代が活躍できる時代に」「住民同士が助け支え合う時代に」「みんなが当たり前の生活を何事もなく送られるように」といった願いの声が聞かれる。