平成最後の「出発進行」 SL銀河運行開始 住田(別写真あり)

▲ 見物客らの見送りを受けながら花巻方面に出発するSL銀河

雨の上有住駅に活気

 JR東日本は30日、釜石線(花巻―釜石間)で平成最後となる「SL銀河」の運行を行った。気仙で唯一、釜石線の鉄路が通る住田町の上有住駅にも停車。降りしきる雨の中、時代をつなぐ勇姿をひと目見ようと多くの見物客らが詰めかけ、活気に包まれた。
 SL銀河をけん引する機関車「C58 239」は昭和15年から約30年にわたり、山田線などで活躍。廃車後の同48年から約40年間は、盛岡市内の交通公園で保存されていた。
 JR東日本は観光面からの復興支援と地域活性化に向け、平成24年12月から復元工事に入り、26年4月にデビュー。宮沢賢治作品「銀河鉄道の夜」をモチーフに改修した機関車と4両編成の旅客車で構成し、全国の鉄道ファンらの人気を集めている。
 29日は下り線(釜石行き)、30日は上り線(花巻行き)でそれぞれ本年度の初運行があり、定員176人の車内はいずれも満席。29日は停車各駅で歓迎セレモニーが行われ、上有住駅のホームでは五葉山火縄銃鉄砲隊や同町観光協会のPRキャラクター・すみっこも出迎えに並んだ。
 平成最後の運行となった30日は、雨にもかかわらず、到着前から多くの見物客が詰めかける盛況ぶり。山あいに汽笛の音が響き、駅近くのトンネルから姿をみせると、昭和から平成、令和へと受け継がれる機関車の到着を歓迎した。
 この日は、同駅から列車旅を楽しむ親子連れの姿も。大船渡市出身で、神奈川県座間市在住の高橋佑美さん(39)は、娘で小学3年生の右喜さん(8)らと乗車。停車中はホームで記念撮影を行った右喜さんは「SLに乗るのは初めて。中がどうなっているか楽しみ」と声を弾ませた。
 本年度の運行は9月末まで。令和最初の運行は今月2日の下り線で、上有住駅には午後2時15分に到着予定。3日の上り線は午前11時57分に到着し、5分程度停車する。
 通常は土曜日が下り線、日曜日が上り線で1日1本、2日間で1往復する。停車するのは花巻、新花巻、土沢、宮守、遠野、上有住、陸中大橋、釜石の8駅。
 乗車は全席指定。乗車区間の乗車券のほか、指定席券(大人820円、子ども410円)が必要。指定券は乗車日1カ月前から、駅の窓口やびゅうプラザなどで販売する。