心と力を一つに祭り絵巻 世田米・天照御祖神社式年大祭 住田(別写真あり)

▲ 商店街で繰り広げられた手踊り

 住田町世田米に鎮座する天照御祖神社(瀧本正德宮司)の式年大祭は4日、世田米商店街でメーンとなる行列が行われた。令和元年を華々しく彩ろうと、郷土芸能や権現舞、手踊りなどからなる各祭組が長期間にわたる練習成果を披露。歩行者天国となった商店街には町内外から多くの見物客が詰めかけ、古き良きたたずまいが残る中で繰り広げられた祭り絵巻を存分に楽しんだ。

 

1000人規模の行列で魅了

 

 式年大祭は総代や世話役、各公民館、祭組などで構成する祭典委員会(泉田是重委員長)が主催。村社となった明治8年に始まり、旧暦の時代は3月16日、新暦になってからは4月16日となった。
 子どもたちに「小学校で2回、中学校、高校で各1回」の祭り体験をさせたいとの思いから、3年に1度挙行。近年は5月の大型連休に合わせている。
 この日は朝方から青空に恵まれ、暑さも感じられる一日に。神社では例祭や発輿祭が執り行われたあと、祭組などが大崎交差点付近に集合し、行列が始まった。
 稚児をはじめ山谷組曲録や下在組大名行列、八幡、立石稲荷、八坂、天照御祖各神社が連なり、1時間余りをかけて練り歩いた。小府金神楽や山王神社、八幡神社、秋葉山の各権現、柿内沢鹿踊り、仲町山車は、威勢の良いかけ声や演舞で盛り上げた。
 さらに東峰、中沢、上組、下組の山車や娘手踊りは、色鮮やかな着物姿で躍動感あふれる舞を披露。背後に続く山車からも太鼓などの演奏が響き渡り、華やかさに包まれた。
 人口減少が進む中でも、各祭組では世代を超えて心と力を一つにし、準備を重ねてきた。踊り手は地域住民にとどまらず、出身者や住田につながりがある都市部在住者の参加も多かった。
 愛宕地域を中心とする「上組」の手踊りに加わった秋田県秋田市在住の大学生・千葉雄太さん(18)は「進学で地元を離れ、練習は4月の初めしかできなかったが、参加しようと思っていた。知り合いに会えるのが祭りの楽しさ。みんなに元気を与えられれば」と話していた。
 商店街は歩行者天国となり、1000人規模の行列が生み出す祭り絵巻をひと目見ようと、町内外から多くの見物客が来訪。「奉祝令和元年」「天皇陛下ご即位をお祝い申し上げます」といった表記も目立ち、新時代の祝賀ムードも加わった。
 泉田委員長(74)は「令和元年にふさわしい祭りとなった。何より、最高の天気に恵まれた。前回よりも踊り手が増え、地域を超えた広がりが生まれている。新たな時代にもつないでいってほしい」と、期待を込めていた。