熟成酒仕上がりワクワク 海舞台の体験型観光を提供 広田湾遊漁船組合 陸前高田(別写真あり)
令和元年5月6日付 1面

陸前高田市内の漁業者らでつくる広田湾遊漁船組合(大和田晴男会長)は、広田湾内に地酒を沈め、海中熟成酒をつくる体験型観光サービスを本格提供している。この大型連休中も観光客らが熟成後の味の仕上がりに期待を込めながら作業を体験。高品質な海産物を生産している同市の漁業をPRする機会ともなっており、同組合は体験客の募集に力を入れていく。
大型連休で観光客ら楽しむ
3日には、盛岡市や大阪府、静岡県の看護師仲間5人が体験。ろうを使って酒のふたを密封したり、自身の名前や年齢、酒の海中熟成開始日・期間などさまざまな情報を書き込む「マイカルテ」を作成したあと、米崎町の脇之沢漁港に移動。漁船に乗り込み、日本酒11本を広田湾産イシカゲ貝の養殖施設につるす様子を見学した。
大阪市の訪問看護師・髙澤洋子さん(59)は「海中でお酒を熟成させるのはロマンがあって面白い。きれいな海の景色も見られてとてもいい思い出ができました。熟成酒の引き揚げを直接自分の目で見に、来年また陸前高田に来ます」と声を弾ませた。
海中は、安定した温度や潮の流れなどによって酒の熟成を促し、まろやかな味わいになるとされる。同組合は一昨年11月、地元産海産物の認知度向上、地域経済の活性化を図ろうと、「海中熟成プロジェクト」に乗り出した。
昨春からは日本酒やワインを海中に沈めたり、引き揚げる体験会を試験的に順次開催。
熟成酒のまろやかさやうま味の科学的根拠を調査したり、物語性を高めるためマイカルテを含むパッケージデザインの制作も進めてきた。
試験期間を経て、今年4月からサービスの提供を本格化。対象は陸前高田市民、または市内ホテルに宿泊した観光客とし、参加者には約10カ月間熟成させた酒と未熟性酒の2本セット(マイカルテ付き)、同湾産の旬の海産物などを郵送する。
料金は、2人一組の場合1万1000円から。今後は、ワインの熟成体験、日本酒を製造する蔵元見学、浜を会場としたバーベキューなどオプションも充実させていく。
同組合は「まだ始まったばかりで認知度が低い。今後は地元内外へのPRに力を入れ、新たな観光資源として確立させたい」としている。
申し込み方法は、同組合のホームページ(http://hirotawan-yugyosen.com/)、または、じゃらんnet(https://www.jal
an.net/kankou/spt_guide000000203534/)で確認を。
問い合わせは、同組合事務局(℡47・5397)まで。