懲役1年6カ月を求刑 簡水事業の贈収賄事件被告の元大船渡市技監に 盛岡地裁公判

▲ 臨時記者会見で職員らの処分を決め、謝罪する戸田市長㊧ら

 大船渡市が発注した簡易水道事業の業務委託を巡る贈収賄事件で起訴中の元同市総務部付技監・亘理義政被告(56)=同市赤崎町字蛸ノ浦24=と、㈱佐々忠代表取締役・佐々木秀光被告(51)=同市猪川町字冨岡115の1=の第2回公判が8日、盛岡地方裁判所で開かれた。検察側は亘理被告に懲役1年6カ月と追徴金30万円、佐々木被告に懲役1年を求刑。審理は結審し、30日(木)に開かれる第3回公判で判決が言い渡される。
 この事件は、亘理被告が市都市整備部簡易水道事業所技監だった昨年9月、市が随意契約で発注した本郷浄水場ろ過池砂上業務など3業務の委託業者選定等に関し、佐々忠に便宜を図った謝礼などとして、佐々木被告から現金30万円の供与を受けたもの。
 今年1月に亘理被告が収賄、佐々木被告が贈賄の罪で逮捕。3月の初公判では、亘理、佐々木両被告が起訴事実を認め、事件の経緯が明らかになった。
 第2回公判では、亘理被告、佐々木被告それぞれの妻に対する証人尋問、亘理、佐々木両被告に対する被告人質問を展開。その後、検察による論告・求刑、弁護人の最終弁論が行われた。
 検察側は、亘理被告が簡易水道事業所技監となった29年4月ごろから1年8カ月にわたって金銭を要求し、300万円弱の授受があったことも明らかにしたうえで、「犯行は常習的であり、その経緯などは悪質なもの。刑事責任は重大」と述べた。一方で、「両被告は反省を示し、亘理被告は懲戒免職、佐々木被告は会社が指名停止措置を受けるなど、社会的制裁も受けている」などとして、亘理被告に懲役1年6カ月と追徴金30万円、佐々木被告に懲役1年を求刑した。
 これに対し、弁護側は両被告ともに公訴事実は争わないこととし、いずれも社会的制裁を受けていることや、各被告の妻が監督のもと自立更生が見込まれることなどを考慮し、執行猶予を求めた。
 最終陳述で、亘理被告は「関係した皆さまに心よりおわびを申し上げたい。深く反省し、二度とこういうことがないようにしていきたい」と、佐々木被告は「いろんな方に迷惑をかけ、深く反省している。悔やんでも悔やみきれない。これから恩返しをしていきたい」と述べた。
 審理はこの日で結審。判決は30日の第3回公判で言い渡される。

 

懲戒免職を決定関係上司も処分 大船渡市

 

 市は第2回公判後に臨時記者会見を開き、亘理被告と関係上司2人を同日付で処分したと発表。会見には戸田公明市長と田中聖一総務部長が出席した。
 戸田市長は「このような不祥事を起こし、市政に対する信頼を著しく失墜させる事態となったことは、ざんきに堪えない。市民の皆さまに対し、衷心よりおわび申し上げる」と述べ、改めて謝罪。「今後、このような不祥事が二度と起こらぬよう、職員全員が襟を正し、真摯(しんし)に職務に取り組むとともに、市民の信頼回復に努めたい」と述べた。
 田中部長は、第2回公判の概要と処分内容を説明。亘理被告については、地方公務員法第29条の規定により懲戒免職とした。また、組織上の関係部長級職員(50代)を1カ月間減給10分の1に、直属の部長級職員(同)を3カ月間減給10分の1とする処分を示した。
 特別職の戸田市長、髙泰久副市長の処分については、市議会に提案し、議決を受ける必要があることから、16日(木)開会予定の市議会臨時会に関連議案を提出する見通し。戸田市長は自身の処分について、「給与の何%カット、何カ月と、いままでの類似案件に相当する形で考えている」との方向性を示した。