景観守り活用充実を 文化財ボランティアなど 栗木鉄山で環境整備活動 住田(別写真あり)
令和元年5月10日付 2面
住田町世田米子飼沢地内の県指定史跡・栗木鉄山跡で9日、町教委と文化財ボランティアによる環境整備活動が行われた。町教委は栗木鉄山跡を明治から大正の製鉄遺跡として、地域に根ざした教育活用や、国指定文化財申請を見据える。参加者は景観を守ろうと熱心にごみを拾い集め、地域住民らの関心喚起に期待を込めた。
栗木鉄山跡は主に栗木トンネルの種山側に位置し、近くには大股川が流れる。明治14年(1881)に整備され、一時は国内4位(民間3位)の銑鉄生産量を誇った。第1次世界大戦後の鉄鋼不況の影響を受け、大正9年(1920)に閉山した。
清掃活動は毎年、跡地内の雑草が茂る前に両組織が合同で実施。住民や教委関係者ら10人余りが参加し、近隣の国道397号などから投げ捨てたとみられる空き缶やペットボトルなどを収集した。
袋ごとまとめて捨てた悪質な形跡に加え、道路沿いのごみを野生鳥獣が散乱させたものも目立った。参加者は鉄山跡全体を歩きながら集め、環境美化を図った。
参加した世田米の佐々木憲也さん(71)は「釣り具などもあり、多種多様なごみがあった。このあたりは、短い期間だったけども産業や集落の営みがあり、まだまだ分からないことも多い。今後、さらに明るみになっていけば」と話していた。
本年度も、栗木鉄山跡は町内小中高校独自の新設教科「地域創造学」で活用される見込み。児童らの現地見学に加え、当時の製鉄方法を再現する「たたら製鉄体験」などが計画されている。
また、町教委では、さらなる価値の明確化を図り、来年度中の国指定文化財申請を目指そうと、調査活動を展開。本年度は現地での大規模な調査は予定していないが、これまでの発掘調査実績をふまえ▽出土遺物実測図(土製品、鉄製品、陶磁器類)の作成▽鉄製品成分分析▽報告書作成──などを行う。
文化財ボランティアは、町内の史跡名勝や歴史を学習し、ガイド役となる人材の育成を目指して活動。現在は、町民約20人が所属し、本年度は上有住にある民俗資料館の整備や活用へ、収蔵品の写真撮影や説明文づくりに取り組む。ボランティア活動の問い合わせは、上有住地区公民館(℡48・2013)へ。