春の叙勲/たゆまぬ活動に光 気仙からは2人が受章

 政府は21日発令の令和元年春の叙勲受章者を発表した。受章者は全国で4226人、県内は82人。気仙からは、行政相談功労で行政相談委員の菅野八重子さん(70)=大船渡市猪川町=が瑞宝双光章、元三陸町消防団団長の塩口一郎さん(76)=三陸町綾里=が消防功労で瑞宝単光章を受ける。

 

瑞宝双光章 菅野八重子さん(行政相談功労)

市民の悩みと向き合い22年

 

 赤崎町出身。大船渡高校卒業後、民間企業勤務を経て昭和54年、30歳で社会保険労務士事務所を開業した。
 平成9年、温厚篤実な人柄を買われて総務庁長官(現総務大臣)から行政相談委員に委嘱された。
 以来、22年の長きにわたって献身的に行政相談業務に携わり、行政相談制度や行政相談委員制度の普及発展、国民の行政に関する苦情の解決促進に尽している。
 大船渡市を担当している行政相談委員のリーダーとして地域に密着した活動を積極的に展開しており、同市役所において、他の委員と交代で毎月定期的に定例相談所を開設。地域住民からの各種相談を受け付け、行政運営の改善、行政に対する民意の反映に寄与している。
 19年7月、年金記録の訂正に関して、国民の立場で公正な判断を示すために設置された年金記録確認岩手地方第三者委員会の委員にも選任され、25年5月までの5年11カ月にわたり、さまざまな関連資料を検討、審議し、申立人の年金記録を公正に訂正することに貢献してきた。
 震災発生後は、28年度までの6年間、仮設住宅団地の集会所や談話室を巡回して出張行政相談所を開設し、被災者からの相談に応じるなど、被災者支援活動も積極的に展開。
 地域住民の良き相談相手として多くの相談が寄せられており、総務省岩手行政監視行政相談センターによると、31年3月末までの22年間で639件の相談を受け付けている。 
 「多くの方に支えられながら、とにかくいろんな人と向き合ってきた。人に言えない悩みを聞くことで、それを払拭してあげられることに喜びも感じた。至らない部分もあったが、ご理解いただき、22年間務められていることに感謝です」と思いを語る。


瑞宝単光章 塩口一郎さん(消防功労)

35年余にわたり地域防災に尽力

 

 昭和37年の入団から平成9年の退団まで、三陸町(村)消防団員として地域防災の推進に尽くした。平成7年から退団までは団長を務め、後進の指導育成にも努めた。
 栄えある受章については「団員や地域の皆さんが連携して協力してくれたからこそ、消防団長としての任務を果たすことができた。自分一人ではなく、皆でいただいたものだと思う」と語る。
 35年余にわたる消防団活動。「さまざまな出来事があった」と振り返る。
 昭和51年1月2日に越喜来で発生した山林火災。乾燥と強風の注意報発表下で延焼が拡大し、焼損面積は250㌶にも及び、13戸61人に避難命令が出された。消防団だけでは対応しきれず、町は隣接市町に応援を求め、自衛隊も出動するなどした。
 鎮火までは約25時間を要した。この際、班長として出動し、仲間とともに真冬の山中に野営しながら、担当方面の制圧に臨み、被害軽減に努めた。
 また、強く記憶に残っているのが、災害時の情報伝達の重要性もクローズアップされた平成7年の阪神・淡路大震災後、防災行政無線の個別受信機設置を三陸町内で推進したことだ。
 東日本大震災では、妻のコト子さん(76)と一緒に大船渡町で地震に遭い、赤崎町の太平洋セメント大船渡工場近くで乗っていた車のタイヤまで黒い波が迫り、すんでのところで同工場に避難。数夜を過ごした。「何度も訓練をして心構えはあったつもりだったが、天災に対して十分ということは決してない」と備えの重みを痛感した。
 長男として中学校卒業後に家業を継ぎ、現在もワカメ養殖などに汗を流す。消防団活動の間、浜の仕事や家庭を支えてくれたコト子さんら家族にも、深い感謝を示す。