心通わすグラウンド・ゴルフ 陸前高田の愛好者招き大会 今年で8年目 内陸転居の震災被災者が企画 奥州市で
令和元年5月24日付 7面

東日本大震災で陸前高田市内の自宅を失い、本県内陸に転居した被災者が、同市グラウンド・ゴルフ協会員を招き、奥州市でグラウンド・ゴルフ交流大会を続けている。震災で散り散りとなったが、大会を通じて絆を深め、8年目となった今年も参加者が再会を喜び合い、はつらつとプレーした。
交流大会は、津波で高田町の自宅が流され、現在、奥州市で暮らす菅野正志さん(73)が発案し、平成24年に始まった。グラウンド・ゴルフを開催できる場所を失った陸前高田市内の愛好者らに伸び伸びと競技を楽しめる機会を提供しようと、知り合いに呼びかけた。
会場の胆沢川桜づつみ広場にちなみ、有志で交流大会を主催する「さくら会」を結成。以来、毎年春と秋に協会員を招き、親ぼくを深めてきた。
今月18日の交流大会には、陸前高田市から10人、内陸から8人の計18人が参加。きれいな芝生が広がるグラウンドで24ホールの合計打数を競い、歓声を響かせた。
別会場で開かれた昼食会も大いに盛り上がり、思い出話や近況を報告。秋の再会を誓い合った。
初めて参加した紫波町の髙橋ソノ子さん(72)は「震災直後、気仙両市からの避難者らをお世話した思い出がよみがえった。また参加したい」と話した。
大会には、津波でかけがえのない家族を失った遺族も参加している。
津波で夫を亡くした高田町出身の村上貴和子さん(73)=奥州市前沢=は「毎回楽しく参加させてもらっている。震災前は高田松原の球場でグラウンド・ゴルフをやっていたので顔見知りも多い」と話す。
前沢に住む長女夫婦宅のそばに自宅を再建。「いくら時間がたっても寂しい気持ちは消えない。みんなとできるグラウンド・ゴルフは励みとなっている」と感謝する。
陸前高田市グラウンド・ゴルフ協会指導部長で、さくら会事務局の横澤喜一さん(72)=高田町=は「今回は特に盛り上がった。陸前高田に立派なグラウンドが完成したら、今度はわれわれが内陸の方々を招待し、大会を開催したい」と笑顔で語った。