スポーツ施設のあり方探る 整備検討委が初会合 大船渡(別写真あり)

▲ スポーツ施設整備検討委員会が初会合を行い、市民体育館などを視察

 老朽化が進む大船渡市内のスポーツ施設に関し、適切な整備・管理等を進めるため、市教育委員会は市内関係団体や利用者らで構成する「スポーツ施設整備検討委員会」を設置し、27日に盛町のシーパル大船渡で初会合を開いた。初回は委員14人が出席し、施設視察も踏まえて同委員会の役割や市内スポーツ施設の現状を確認。今後は、市内の各施設を視察するとともに、利活用や整備・管理などに関する協議を進める。9月ごろには集約した意見を市へ報告する見通しだ。

 

今後の利活用など協議
9月ごろに意見報告へ


 市内には、市民体育館や市営球場、市民テニスコート、赤崎グラウンド、三陸総合運動公園など16のスポーツ施設と、19小中学校の運動場や体育館がある。
 スポーツ施設のうち、平成29年度に人工芝工事を実施した赤崎グラウンドを除く多くの施設は、設置から30年以上が経過。最も古いのは、昭和39年に完成した市営球場となっている。
 東日本大震災で被災したことなどにより、災害復旧や改修工事が行われた施設もあるが、全体的に老朽化が進行。こうした中、多様化する利用者ニーズへの対応や、既存施設の適切な整備、管理などが課題として挙げられている。
 市はこれまで、スポーツ施策は「市総合計画」および「市教育振興基本計画」の中で位置づけて実施。しかし、市民のスポーツ活動の状況や社会情勢の変化、地域特性等に起因する新たな課題も浮き彫りになってきており、こうした課題への対応が必要となっていた。
 そこで、スポーツ推進の基本的な方向性を示す「(仮称)市スポーツ推進計画」と、長期的な展望のもとでスポーツ施設の適切な管理を図り、今後の整備方針等を盛り込む「(仮称)市スポーツ施設整備基本計画」を定めることとし、本年度内の策定を目指して作業を実施。両計画の検討にあたっては、行政だけではなく関係団体や利用者らからの意見も広く反映させたいとして、今回初めてとなるスポーツ施設整備検討委を設置した。
 検討委は、市内の各種団体や一般公募の市民ら20人で構成し、初会合にはこのうち14人が出席。小松伸也教育長が「本日は検討委の役割を伝え、国や県の動向を踏まえて市内におけるスポーツ施設のあり方について認識を統一させていきたい。忌憚(きたん)のない意見と、活発な議論をお願いしたい」とあいさつした。
 協議では、委員長に畠山政平氏(市老人クラブ連合会)を、副委員長に古座勝利氏(一般社団法人県建築士事務所協会気仙支部)を選出。検討委の役割や市スポーツ施設の現状についても確認した。
 その後、委員らは市民体育館、市民テニスコート、田中島グラウンドを視察。各施設の現況や今後の方向性などに関し、市教委による説明を受けながら見て回った。
 このうち、市民体育館では2階の客席が少なく、移動手段が階段のみで車いす利用者らにとっては不便であることなどの課題を認識。施設規模が小さいため、大会利用が限られている現状を指摘した委員もあった。
 市民テニスコートは、令和4年度に隣接する田中島グラウンドを改修し、現在の5面に加えて新たに3面を確保する計画がある。委員からは「シーパルの駐車場からコートへ移動する際、一度道路に出なければならない。安全確保のために直接コートへ移動できるようにしてほしい」「テニスコートを拡張するならば、客席を充実してほしい」などの意見が上がった。
 検討委は今後、月に1回のペースで開催。委員らは市内の各スポーツ施設を視察し、現状を把握したうえで、有効に利活用していくための方策や、整備・管理などに関する意見交換を進めていく。検討結果は集約し、9月ごろに市へ報告する見込みとなっている。