両組合とも30年度決算で純利益確保 三木2年連続・ランバー5年ぶり 住田

▲ 三木やランバーの工場などが入る世田米の木工加工団地

 住田町世田米の木工加工団地内に構える三陸木材高次加工協同組合(三木、菊池良一理事長)と、協同組合さんりくランバー(ランバー、上田昭雄代表理事)は29日、それぞれ町内で通常総会を開き、平成30年度決算を承認した。三木は3553万円の純利益を出し、2年連続の黒字決算。ランバーも134万円の利益を出し、5年ぶりの黒字確保に至った。両事業体は町から融資金や立木未収金を含め計10億円超の支払いを求められているが、30年度は計850万円の償還が行われたことも明らかになった。

 

町への償還は計850万円

 

 三木は主に、防腐加工などを施した構造用集成材を製造。ランバーは、丸太を集成材用ひき板(ラミナ)に製材、乾燥加工している。総会はいずれも、非公開で行われた。
 承認された決算資料によると、三木の30年度売上高実績は前年度比802万円の増の14億5765万円。利益実績は3553万円で、前年度を1367万円上回った。
 27年度以降、生産性向上や経費削減、歩留まりの改善を実践。30年度は原材料の値上げなど厳しい要素もあった半面、部品・修繕取引先の見直しや、生産種類を減少させて効率化を図り、黒字決算に至った。
 前期繰越損失金は7億8532万円。純利益が出たことで、次期繰越損失金は7億4997万円に圧縮された。本年度の売上計画は15億5410万円で、利益は3510万円を見込む。
 一方、ランバーの30年度の売上高実績は前年度比約1099万円の減の2億9820万円。前年度は390万円の純損失を計上する赤字決算だったが、30年度は純利益134万円を確保した。
 原木の品薄感から仕入単価上昇の影響を受け、さらに老朽化した機械設備を修繕するための部品が入手困難になって生産量が著しく低下する月もあった。それでも、工場が隣接する三木や、けせんプレカット事業協同組合に対し、良質なラミナ提供を続けた。
 次期繰越損失金は4億4788万円。本年度の売上計画は3億6900万円で、利益計画は1581万円としている。
 両組合は、平成19年に経営危機が判明。町から合計約7億9000万円の公金融資を受けて再建を進め、26年度から年度当たり約3100万円を町へ償還する計画だった。
 しかし、27年度内の償還は222万円、28年度は450万円、29年度は500万円にとどまった。30年度は三木から350万円、ランバーから500万円で、計850万円の償還が行われた。
 町は一昨年、両事業体や連帯保証人に対し、立木未収金を含めた計10億円超の支払いを求める調停を大船渡簡易裁判所に申し立てたが、不調に終わった。
 今年2月には、両事業体の経営陣に対して催告書を提出。一括返済か、それができなければ今後の具体的な返済計画を3月末に書面でまとめるよう求めた。
 これに対して事業体側は、債権問題対応や経営管理強化などに向け、会計士に依頼する方針を示していた。
 三木は生産、販売とも安定しつつあるとの認識を示すほか、金融機関に対する長期借入金返済も順調に進む。一方、工場内では設備の老朽化が進み、新機械導入の必要性が高まっているという。
 菊池理事長は「現場の従業員は、よくやっている。会計士に依頼しながら経営計画をまとめている段階であり、早期に町の求めに応えられるようにしたい」と話す。
 両事業体の経営状況に関し、神田謙一町長は「業績改善は喜ばしいこと。返済計画を早期に示すよう、引き続き求めていきたい」と語る。