2019陸前高田市議選/告示まで3カ月 新人の名乗りなく推移

 任期満了に伴う陸前高田市議選(定数18)は、9月1日(日)の告示まで3カ月と迫った。現段階では、現職のうち3分の2以上が出馬の構えを見せるが、「検討中」として不出馬の可能性を示唆する議員も。新人は、複数の名前が取りざたされているものの、正式表明はまだない。投票日は知事選、県議選と同じ9月8日(日)で、いずれも立候補者が定数を上回れば〝トリプル選挙〟となる。改選に向けた動きは、市議会6月定例会の終了後に本格化しそうだ。

 

改選に向けた動き 定例会後に本格化か

 

 平成27年9月6日投票の前回市議選は、定数が20から2削減されて以降2回目の選挙で、現職、新人、元職合わせて19人が立候補。定数を1人上回るだけの少数激戦が展開された。
 当選者の内訳は現職12人、新人5人、元職1人。史上最年少となる26歳の新人がトップ当選を飾ったほか、現職は全員議席を守り、新人1人が落選した。
 投票率は73・79%で23年の前々回選を3・89ポイント下回り、過去最低を更新。当選者の最高得票数は1347票、最低得票数は329票だった。党派別では15人が無所属で、共産が3議席を確保した。
 今回の市議選は、昭和30年の市制施行以来通算17回目。
 今年3月1日時点で市内全体の有権者は1万6790人(男8125人、女8665人)と、前回選投票日の1万7086人と比べ、296人少ない。
 現職の動向を町別にみていくと、高田町(有権者数4220人)では、鵜浦、佐々木の両氏がいずれも出馬の構え。議会最年長の丹野氏は「健康状態を踏まえて、これから方針を決めたい」とする。
 気仙町(同1657人)では、丹野氏に次ぐ高齢の菅野(稔)氏が「最終決定はまだしていない」としており、大坂氏も同様に態度を明らかにしていない。同町今泉地区は現在、在住議員がゼロ。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた同地区では復興のけん引役としての議員待望論も根強くある。
 広田町(同2761人)では、蒲生氏、伊勢氏がともに出馬の方針。前回選で最年少当選を果たした三井氏は「6月定例会が終わってから考えを明らかにしたい」と述べるにとどまる。
 小友町(同1750人)をみると、福田氏は自身の意向を明言していないが、副議長の及川氏は立候補する構えだ。
 米崎町(同2593人)では、菅原氏が出馬に前向き。大坪氏も早い段階から次任期を見据えてきた。
 矢作町(同1370人)では、菅野(定)氏、藤倉氏、議長である伊藤(明)氏が出馬の構え。今年2月に行われた市議選補選(欠員1)で当選した伊藤(勇)氏も出馬に意欲を見せる。
 竹駒町(同1273人)は、中野氏が2期目を目指す意向。
 横田町(同1166人)では、畠山氏が出馬を明言しており、すでにマニフェストも固めている。
 前回選では20〜40代の新人が3人当選したこともあり、それまで50代以上が中心だった議会の〝若返り〟が図られた。
 また、1人だった女性議員が初めて2人となった。東日本大震災後、市内には県外からの移住者や、Uターンする同市出身者が増えたこともあり、今回も市民の間からは「女性や若年層の代弁者となる人が増えてほしい」という声が聞かれる。
 さらに、2月に行われた市長選挙の〝余波〟が、市議選の新人擁立に影響しているとみる向きも。現職の戸羽太氏と、新人の紺野由夫氏の一騎打ちとなった市長選では、紺野氏陣営から「議会の刷新が必要」という声が挙がった。今市議選でも、紺野氏を支持した層から複数の名前が取りざたされ、出馬を視野に入れ水面下で動いているとみられる。
 また、市議補選に立候補した3人のうち、落選した2人の動向にも注目が集まる。
 前回、前々回選は、告示直前まで立候補者の顔ぶれが固まらず、無投票の可能性もある状態で長く前哨戦が続いた。
 現職の間でも「はっきりした意思表示は、6月定例会終了後に」とする議員が多く、候補擁立の駆け引きもその後に本格化しそうだ。
 議席番号順による現職一覧は別表。