三陸防災復興プロジェクトが開幕 8月7日まで68日間 気仙など沿岸地域で各種行事(別写真あり)
令和元年6月2日付 1面

本県沿岸地域全体を舞台とする総合的な防災復興行事「三陸防災復興プロジェクト2019」(同実行委主催)が1日、開幕した。同日は釜石市の釜石市民ホールでオープニングセレモニーが行われ、復興に取り組む地域の姿や国内外への感謝を発信。今後、8月7日(水)までの68日間にわたって沿岸地域で多彩なイベントが実施される。(7面に関連記事)
復興の今と地域の魅力発信
同プロジェクトは、三陸鉄道の一貫運行、陸前高田市で整備が進められている震災津波伝承館の開館、ラグビーワールドカップの釜石開催など、三陸地域が世界的に注目を集める年になることから、この機会を捉えて国内外に向けて復興に力強く取り組んでいる地域の姿、東日本大震災の教訓と支援への感謝を伝えるとともに、三陸地域の多様な文化や魅力を発信しようと開催。期間中は沿岸13市町村を舞台に防災シンポジウムや音楽祭、祭りイベントなど計22のイベントが展開される。
オープニングセレモニーには、一般、関係者ら合わせて約700人が出席。
はじめに、実行委会長を務める達増拓也知事が国内外からの支援に感謝を示しながら「震災から8年2カ月と21日が経過し、新たな三陸の姿が現れてきている。復興の成功と今後の地域振興のために、多くの皆さまにプロジェクトのさまざまな事業に参加してほしい。このプロジェクトが今後10年の岩手を創造する土台をつくり、いわて県民計画の基本目標の実現を目指す大きな前進となることを期待する」とあいさつし、プロジェクトの開会を宣言。
安藤裕復興大臣政務官(代読・内田幸雄岩手復興局長)の来賓祝辞に続き、県政策地域部の白水伸英部長が東日本大震災の被災状況や、多様なつながりによる支援について説明した。
このあと、米国大使館首席公使のジョセフ・M・ヤング氏と国連防災機関駐日事務所代表の松岡由季氏がそれぞれ登壇。
このうちヤング氏は、「海外からの復興支援」と題してスピーチ。震災直後の米政府の支援体制や、自身が日本政府機関との情報交換を担当していたことなどを紹介し、「防災やリスク軽減など、日本の経験から学ぶことはたくさんある。震災の教訓を世界各国と共有しようとする皆さんの取り組みに感謝したい。知識を共有することで、人命が救われることとなる。今後も日米両国が防災協力を深めていくことを期待している」と述べた。
NPO法人みやっこベース(宮古市)の吉浜知輝さんによる復興への取り組み報告のあと、復興支援でつながりの深いシンガーソングライター・八神純子さんによるトーク&ライブも繰り広げられた。
セレモニー後はシンポジウムも開催。「災害に強いこれからのまちづくり」と題した基調講演や、「未来につなぐ災害に強い地域づくり」をテーマとするパネルディスカッションが行われ、出席者が震災の教訓の発信、復興後の地域づくりに向けて意識を新たにしていた。
今後、同プロジェクト関連行事として、気仙では「三陸防災復興シンポジウム」(大船渡市)やスポーツフェスタ(陸前高田市)などさまざまな行事が開かれる。最終日の8月7日には、陸前高田市を会場とするクロージングセレモニーが予定されている。
大船渡の復興状況など視察 首席公使のヤング氏
在日米国大使館首席公使のジョセフ・M・ヤング氏は31日、気仙両市を訪問し、震災からの復興状況を視察した。
ヤング氏は、同大使館の政治部安全保障課長、米太平洋軍の外交政策次席顧問、米国務省の日本部長などを歴任。平成29年8月に現職に就任した。
陸前高田市を視察後に大船渡入りし、市役所で戸田公明市長ら市幹部と懇談。2020年東京オリンピック・パラリンピックの参加国や地域と被災地が交流を図る「復興『ありがとう』ホストタウン」に大船渡も登録していることに触れ、「アメリカを相手国としての登録、ありがとうございます。交流がもっと深くなっていくことを期待します」とあいさつした。
戸田市長は震災支援に対して感謝の言葉を述べながら、「今後とも友好の絆をたくさんつくっていきたい」と歓迎した。
その後、大船渡町の市防災観光交流センター(おおふなぽーと)に移動し、戸田市長から大船渡駅周辺のまちづくりについて説明を受けるとともに、センター屋上から復興が進む市街地を眺めた。

戸田市長からまちづくりについて説明を受けるヤング氏㊨